まさかの演出に「原作者ブチギレ」のアニメ いったい何が起きた?
マンガの原作者は親も同然の存在です。アニメ化は成功させれば親孝行、失敗すれば親不孝かもしれませんが、それ以前に裏切ると「勘当」されてしまうこともあるかも?
「パクリ」は言語道断?
自分が描いたマンガがアニメになるのは、漫画家の大きな夢でしょう。アニメ化が決定すると原作者はアニメ制作スタッフと話し合い、あとはお任せするのが普通だそうです。ただ、意思疎通が取れていなかったのか、アニメの出来で原作者が怒ってしまうケースもあります。
いくつか古い例を挙げてみます。
・アニメ『ハリスの旋風』(66~67年)で、主人公の石田国松がただの悪ガキとして扱われているのを見て「アニメはこんなに乱暴な作り方をするのか!?」と、ちばてつや先生が製作スタッフに抗議した
・現在のテレビ朝日版ではなく日本テレビで放送されたアニメ『ドラえもん』(73年)で、藤子・F・不二雄(当時・藤本弘)先生が「原作とは似て非なるアニメ」と憤っていた
・『超電動ロボ 鉄人28号FX』(92~93年)で横山光輝先生がロボットのデザインを見て「ガンダムじゃないんだよ」と嘆いた
など偉大な先生方がぼやいたとされる逸話はたくさんあります。
上記は「逸話」ですが、今回は原作者自身がブログやSNSを通じてはっきりと苦言を呈した、近年の事例を紹介します。
●「失望に値する、最低な演出」アニメ『あひるの空』(19~20年)
こちらは身長149cmの主人公が不良だらけのバスケットボール部に入部して、母親と誓った「高校最初の大会で優勝」をめざすスポーツマンガのアニメ化作品です。
事件は第37話で起こります。バスケ試合中の人物の目から、光が波のように走る映像がありました。目の肥えた視聴者は「パクリじゃないの!?」と驚いたはずです。
こちらは、同じバスケを題材にしたアニメ『黒子のバスケ』で、登場人物が「ゾーン」に入ると目の光が走る、という演出と似ていたのです。もちろん、原作マンガにこのような描写はありません。原作者の日向武史先生は責任を感じたのか、放送から2日後、当時のTwitter(現:X)でこのようにつぶやきました。
「その作品のファン達を不快にさせてしまったなら申し訳ないです。純粋なあひるの空の読者にもね。失望に値する、最低な演出だと思います。重ねてお詫びを。(一部抜粋)」
この演出はアニメ制作側が勝手に行ったもので、現状その意図や狙いも分かりません。