過去の設定どこいった? 『キン肉マン』の愛すべきツッコミどころ3選
1979年より「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載が始まった『キン肉マン』には、「あの設定ってどうなったの?」と思わずツッコミたくなる場面がいくつもあります。本記事ではそんなツッコミどころを紹介します。
伏線としての回収はもはや不可能?
『キン肉マン』の作者である漫画家ユニット「ゆでたまご」の原作担当・嶋田隆司氏は、2017年に発売された「キン肉マン 大解剖 新装版」(三栄書房)のなかでインタビューに答えています。
そこで嶋田氏は「自分の作品を読み返すなんて、それまであまりしたくなかった」と語りながら、新シリーズを始めるにあたって読み返したことを明かしています。
しかし逆をいえば、それまで過去を振り返らなかったから、予想もつかない勢いのある展開が生まれたとも言えるでしょう。
そして、そういう作者だからこそ、読者が「あの設定どうなったの?」と思わずツッコミたくなるようなシーンが生まれており、それを見つけるのもファンの楽しみでもあります。本記事では、そんなツッコミどころ満載な場面を紹介します。
最初に紹介したいツッコミどころは、人気超人のロビンマスクに関するものです。
物語の序盤、グランド・キャニオンの高所に設置されたリングでのキン肉マンとのバトル中、ロビンマスクは峡谷に転落し、死亡したと思われていました。しかし、コミックス9巻「コピー超人…!? の巻」でロビンマスクは再登場を果たします。
このときロビンは「命とひきかえに わたしはにどとリングにはたてない体になってしまった」と語り、転落による傷でロビンの身体はボロボロでした。そのため現役を退き、超人トレーナーとして第二の人生を歩んでいたのです。
そんな設定があったにもかかわらず、「7人の悪魔超人編」でロビンマスクは、悪魔超人に対抗する正義超人のひとりとしてあっさりとリングに上がっています。
もちろん、その後のロビンマスクの活躍は誰もが知る通りで、「リングに立てない身体とは何だったのか?」とツッコミたくなるほど、イキイキとした姿を見せています。
続いてはテリーマンにまつわる設定です。超人オリンピックの予選には、重さ1tの怪獣を持ち上げる競技があり、テリーマンは難なく持ち上げてクリアします。
しかし、「7人の悪魔超人編」に登場した悪魔超人の「ザ・魔雲天」を抱え上げるとき、テリーマンは全身全霊をかけ、身体を震わせながらようやく持ち上げていました。
実はザ・魔雲天の体重は1tで、超人オリンピック予選の怪獣と同じ重量です。多少は試合の疲労があったにせよ、もっと軽々と持ち上げてほしいと思ったのは筆者だけでしょうか。
最後に紹介するのは、悪魔超人の「サンシャイン」です。サンシャインは身体を砂に変えてしまうことが可能でした。実際「黄金のマスク編」では、何度も身体を砂に変えながらジェロニモを翻弄しています。
そんな特徴を持つサンシャインですが、相手から技をかけられた時に自分の身体を砂に変えて逃れようとしない場面が多々あります。
例えば「夢の超人タッグ編」でテリーマンにテキサス・クローバー・ホールドを決められたときも、身体を砂に変えれば簡単に脱出できたはずですが、なぜかその手段を取りません。砂になれるという設定は忘れられてしまったのでしょうか……。
今回、あえてツッコミどころを挙げさせていただきましたが、これはほんの一例に過ぎません。しかし、作中で見つかる多少の矛盾点や小さな粗など、大半の『キン肉マン』ファンにとっては些細な問題に過ぎません。『キン肉マン』は細かい設定など度外視して、勢いで押し切ってしまうだけのパワーあふれる作品だからこそ、今もなお多くのファンを魅了し続けているのでしょう。
(LUIS FIELD)