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下手すると「死ぬ」アニメ映画。プロデュースの成功者が凄いワケ【この業界の片隅で】

アニメ業界の片隅で生きる著者・おふとん犬が、業界の片隅で拾ったさまざまな話題を取り上げて解説します。第2回は、最近ますます本数が増えてきた感のあるアニメ映画について。金銭的なハイリスクさと、それを乗り越えて作品を世に送り出す人の凄さのお話です。

実写映画より高い!? アニメ映画の映像制作費

映画館のスクリーンのイメージ(画像:写真AC)
映画館のスクリーンのイメージ(画像:写真AC)

 アニメ映画は下手をすると死にます。比喩でも何でもなく。

 いったい何が死ぬのか? お金を出して作った人たちのお財布が、です。だったら何でそんなハイリスクなものをたくさん作るのかという疑問は、まったくもってごもっともです。大きな理由として、業界の直面している構造的な問題があるのですが、それはまた別の機会があればお話しましょう。

 ともあれ、アニメ映画の主にどこがハイリスクなのか? 当然ながら、まずは映像制作費の高さが挙げられます。映像制作費はさまざまな要因による差が大きく、一概にいくらとは言えないのですが、通常の劇場アニメですと数億円は当たり前にかかります。傾向として、実写映画よりアニメ映画の方がお高めでもあります。

 また、聞き慣れない言葉かもしれませんが、「P&A費」というのもあります。Prints & Advertisingの略で、つまりは上映に使うフィルム代と広告宣伝費です。仮に100館の映画館で上映するとしたら、フィルム代は単価×100館分かかります。

 宣伝を劇場内で行う場合、その費用も100館分。もちろん、劇場内だけでなく、ネットでテレビで街角でと、可能な限り多く効果的な宣伝を行わなければ、お客さんは劇場に足を運んでくれません。そういったプロモーションも、当然ながらタダではできません。

 さあ、アニメ映画に明るい夢を見ていた皆さんの顔が、だんだん曇ってまいりました。性格の悪い私が、さらなる追い打ちをかけてまいりましょう。仮に映像制作費とP&A費で5億円かかったとします。それなら、興行収入が5億円に到達すれば赤字にはならないのでしょうか?

 そんなことはありません。

 劇場映画の場合、興行収入の約50%(この比率には変動があります)は、興行=映画館側の取り分となります。残った50%の中から、まずは実際の上映に至るまでを取り仕切ってくれた映画配給に手数料を支払う必要があるでしょう。原作者や監督、脚本家に対する印税もあります。

 その他にも、さまざまな経費が発生しているはずです。それらを全て差し引いて残ったお金から映像制作費やP&A費を除いた額が、お金を出して作った人たちの「利益」ということになるわけです。

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