マグミクス | manga * anime * game

『ウルトラマンタロウ』の「怪獣軍団」登場から50年 子供は大興奮も、見た目が「コレジャナイ」

半世紀前の1973年10月、人気番組だった『ウルトラマンタロウ』は、人気怪獣が次々に登場する娯楽編を1か月も続けました。それには、「子供の注目を集める」以上の理由があったのです。

意識していたのは子供たちよりも「放送局」の方?

第27話「出た!メフィラス星人だ!」から始まる怪獣軍団編を収録した、「DVDウルトラマンタロウ Vol.7」(DIGITAL ULTRA PROJECT)
第27話「出た!メフィラス星人だ!」から始まる怪獣軍団編を収録した、「DVDウルトラマンタロウ Vol.7」(DIGITAL ULTRA PROJECT)

 今から50年前の1973年に放送された第二期ウルトラシリーズ第3作『ウルトラマンタロウ』は、ちょうど10月に差し掛かった第3クールの初めに、当時の子供たちを興奮させた娯楽編が1か月にわたり放送されました。その内容は、人気怪獣たちの再登場編でした。

 この「10月の怪獣軍団編」とも言うべき『タロウ』の展開は、キー局であるTBSに対してのアピールが要因でした。なぜならば、10月は翌春の新番組を決定する時期だったからです。つまり、ここでの成績は『タロウ』の次回作が「何になるか」に大きく影響するのでした。

 もちろん、それだけでなく10月はライバルとなる新番組が軒並み始まる時期でもあります。そういったことから、もっとも注目を集めるエピソードを10月に放送することになったのでしょう。

 『タロウ』は第二期ウルトラシリーズで唯一、大きな路線変更がなく1年の放送を終わらせています。そんな優等生の『タロウ』が、ここ一番に舵を切ったエピソードが人気怪獣の再登場だったことには、当時の雑誌展開に影響された背景がありました。

 第二期ウルトラシリーズでウルトラマンたちが「兄弟」になったように、この時期に怪獣たちも組織化される展開が小学館の雑誌で掲載されています。いわゆる「怪獣軍団」の誕生でした。

 もちろんウルトラ兄弟が雑誌発信で生まれた時のように、TV作品で語られた公式設定ではありません。しかし、当時の雑誌を読んでいた子供たちには雑誌とTVの違いは些細なこと。子供たちには怪獣軍団という組織が本当にあるかのような気持ちで作品を楽しんでいました。

 この怪獣軍団の首領格がバードンです。宇宙人でなく怪獣というところが、弱肉強食でボスの座を決めたであろうことが子供心にもわかり、実力主義で強力な軍団であるというイメージが刷り込まれました。

 ちなみに、この前月に放送されたエピソードでウルトラの国を紹介した時、はるか昔にエンペラ星人率いる怪獣軍団がイラストで紹介されており、10月の怪獣軍団編への橋渡しになっています。

 この時のイラストを描いたのは当時、小学館の学習雑誌でウルトラシリーズを描いて人気だった漫画家の内山まもる先生でした。内山先生はマンガで第二期ウルトラシリーズを支えたとも言える存在です。当時、ウルトラシリーズのマンガで多くの子供たちに人気がありました。

 内山先生は当時、執筆した長編マンガ『かがやけ ウルトラの星』でも怪獣軍団とウルトラ兄弟の死闘を描き、多くの子供たちを熱狂させています。

1 2 3