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『ワンピース』で「聖地巡礼」はできる? ファンが熊本のレストランに向かう理由

今やすっかり一般化したアニメ、マンガの「聖地巡礼」という行為ですが、架空の世界が舞台の『ONE PIECE』でもできるのでしょうか?

架空の世界が舞台の『ONE PIECE』に「聖地」はあるのか?

『るるぶ ONE PIECE』発売記念ビジュアル(JTB パブリッシング)
『るるぶ ONE PIECE』発売記念ビジュアル(JTB パブリッシング)

 2023年8月31日に配信開始された実写ドラマ版も大ヒットした『ONE PIECE』(著:尾田栄一郎)は、これまでに全世界で50カ国以上の地域で公式に翻訳出版されており、国内のみならず海外からも熱い支持を獲得し続けています。

 さて、こうしたヒット作品にはファンが舞台となった地域、建物に出向くいわゆる「聖地巡礼」が行われるケースが多いです。例えばアニメ『SLAM DUNK』(原作:井上雄彦)に登場する、「江ノ電の踏切」は「聖地」としてあまりにも有名でしょう。

 では『ONE PIECE』はどうでしょうか。『SLAM DUNK』の踏切は実在しますが、『ONE PIECE』は架空の世界が舞台であり、具体的な「聖地」が定まっているようには思えません。それとも熱心なファンの目線をもってすれば、それも可能なのでしょうか。『ONE PIECE』の「聖地巡礼」事情を掘り下げてみましょう。

●「モデル」とされている場所をまとめた「るるぶ」が発売

 架空の世界とはいえ、『ONE PIECE』にはファンの間で「モデルがある」と考察されている場所も多数登場します。分かりやすい例でいえば、ルフィの出身地である「フーシャ村」は名前の通り、風車があるイギリスやオランダの田舎の街並みが「モデル」であると言われてきました。

 他にもナミと出会った「オレンジ村」は、ドイツのローテンブルク・オプ・デア・タウバーがモデルとうわさされていたり、カヤの屋敷の外観はイギリスにある「ベルトン・ハウス」がモデル(実際にそっくり)とされていたり、世界各国にこうした「モデル」とされている場所は存在しています。

 そして、2021年にはこうしたモデル地のガイドブック『るるぶONE PIECE』が刊行されたのです。ある意味、不可能と思われていた『ONE PIECE』世界の「聖地」が、あくまで「るるぶ編集部」の調査ではありますが、半ば公式に認定されたことになります。なお、ゴア王国の巨大ゴミ捨て場「グレイ・ターミナル」は、フィリピン・マニラにあった「スモーキー・マウンテン」がモデルであると、単行本第62巻で尾田先生が明かしています。

●尾田先生の故郷「熊本」にある鉄板焼きレストランが、なぜ「聖地」?

 さて、ここまで紹介した「聖地」は海外ばかりで、当然、巡礼のハードルは高いでしょう。しかし、熱心なファンはまず尾田先生の生まれ故郷である「熊本県」を目指すようです。

 例えば熊本県庁プロムナードには、「ルフィ像」があります。こちらには、尾田先生の手形もあります。2016年の熊本地震後の「ONE PIECE熊本復興プロジェクト」の一環で建てられたもので、熊本県内には麦わらの一味の像があちこちにあるのです。

 なかでもまごうことなき聖地は、鉄板焼きレストランの「薔薇亭(ばらてい)」です。こちらは尾田先生が学生時代にアルバイトをしていたお店でした。それだけでも十分「聖地」ですが「薔薇亭(ばらてい)」という名前をよく読めば、船上レストラン「バラティエ」にそっくりです。名前の由来で間違いないでしょう。

 なお尾田先生が働いていた支店はもうないのですが、本店は今も営業中です。当時の尾田先生のことを知る方も、まだ働いています。ちなみに尾田先生は、よくお皿を割っていたようです。

●「ワノ国編」で一気に「聖地巡礼シーン」に確変が!

 本来、日本人には聖地巡礼がしづらい『ONE PIECE』でしたが、その潮目は「ワノ国」編で一気に変わります。読んで字の通り「ワノ国」は日本がモデルです。

「べべんっ!」と大きく描かれた町並みには名古屋城を模した城に、五重の塔に清水寺、さらに日光東照宮と「日本史」の聖地が、そのまんま『ONE PIECE』の聖地に早変わりしました。自分で企画しなくとも、修学旅行や社員旅行がそのまま聖地巡礼になりうる時代に突入しています。

 物語の終盤で、ついに『ONE PIECE』の世界と私たちが住む日本が地続きになりました。もはや、今『ONE PIECE』を読んでいる自分の部屋も、『ONE PIECE』の聖地といって良いはずです。

(片野)

【画像】「聖地」の内容濃すぎ&分かりやすすぎ!「るるぶとワンピース」のコラボ本の中身を見る(7枚)

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