『地獄少女』白石晃士監督が描く、人間の闇「キラキラしたものを穢してしまいたい」
Jホラー界の二大アイコンが激突した『貞子vs伽椰子』(16年)、フェイクドキュメンタリーの傑作『戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版』(14年)などで知られるホラー映画界の旗手・白石晃士監督が手掛ける、実写映画『地獄少女』が2019年11月15日に公開されます。映像に込めた思いを聞きました。
実写版は「かなりハードに、恐ろしさが感じられるように」
2005年から放映が始まった人気TVアニメ『地獄少女』が実写映画化され、2019年11月15日(金)より公開されます。地獄少女・閻魔あいを演じるのは、『Diner ダイナー』『惡の華』と、話題作への出演が続く玉城ティナ。閻魔あいの仲間である三藁(さんわら)には橋本マナミ、楽駆、麿赤兒が扮しています。
ホラー映画『貞子vs伽椰子』(2016年)をヒットさせた白石晃士監督が脚本も手掛け、アニメ版にもマンガ版にもなかったオリジナルストーリーを生み出しています。人気作品をどのようにして実写化したのか、白石監督に聞きました。
——少女たちが謎の失踪を遂げる怪事件と深夜0時のみに現われる闇サイト「地獄通信」をめぐる都市伝説……。白石監督好みの物語が繰り広げられる『地獄少女』ですが、人気アニメを実写化するうえで気をつけた点はどんなところでしょうか?
実写映画化にあたり、アニメの第1シリーズとマンガ版を参考にしました。アニメの第2シリーズになると、ちょっと変わった新キャラも登場するようになるので、今回は『地獄少女』の基本形をやることにしたんです。アニメ版はアニメならではの、マンガ版はマンガならではの面白さがあり、それをそのまま実写映画でやるとチープになってしまうので、その部分は留意しました。
例えば、閻魔あいが契約を結ぶ相手に渡す藁人形ですが、実写で見せると「この藁人形は誰が編んだの?」みたいな疑問が生じてしまうので、藁人形は木の枝に藁が巻き付いて人の形になったような形状にしています。原作の持つダークファンタジーとしての雰囲気と実写映画としてのリアリティーとの兼ね合いに気をつけましたね。
——玉城ティナ演じる閻魔あいを支える三藁は、輪入道に貫禄たっぷりな麿赤兒、骨女に妖艶な橋本マナミ、一目連にイケメンの楽駆。かなり豪華な顔ぶれですね。
理想のキャスティングになったと思います。閻魔あいと三藁はアニメシリーズだとファミリー感があるんですが、実写映画ではその部分は極力出さないようにしました。閻魔あいと三藁は人間ならざる恐ろしい存在なので、人間くさくならないようにしたんです。それでも多少ユーモラスさは出ているとは思いますけど。
人の生き死にを扱い、地獄送りにする物語なわけですから、軽々しく描くと説得力がなくなってしまいます。今回の実写版はかなりハードに、観た人が恐ろしさを感じるものにしているんです。