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『地獄少女』白石晃士監督が描く、人間の闇「キラキラしたものを穢してしまいたい」

人間はどうしようもなく、間違いを犯す

インタビューに応える、白石晃士監督(マグミクス編集部撮影)
インタビューに応える、白石晃士監督(マグミクス編集部撮影)

——オリジナル版のファンが多い作品の映像化は、ファンの声を意識しますか。

 オリジナルのファンは、どんなふうに撮っても抵抗を感じるでしょうね。漫画やアニメを実写化する時点で、別の表現になってしまうのはどうしようもありません。その部分では、あまりファンの声は気にしないようにしています。

 いちばん大事なことは、監督する僕自身が『地獄少女』から感じた面白さをどのように実写表現にしてお客さんに届けるかだと思うんです。もちろん原作は大切に扱いますし、リスペクトを忘れないようにしています。

——白石監督が感じた『地獄少女』の面白さは、どういう部分でしょうか?

「人間はどうしようもなく間違いを犯してしまう存在だ」ということでしょうね。『地獄少女』は人があやまちを犯すことを批判するでもなく、肯定もしません。傷つけられた側には復讐心が宿るわけですが、復讐するという行為は決してきれいごとでは済まないものだと思います。相手に復讐すれば、それで気持ちがすっきり晴れて済むものではありません。『地獄少女』の大事なところ、つまり他にない面白さは、そこにあるんじゃないかなと僕は思っています。

——人気コミックの実写映画『不能犯』(2018年)の主人公(松坂桃李)は、『ヒッチャー』(1986年)のルトガー・ハウアーをイメージしていたそうですね。今回は参考にした作品はありますか。

 三藁に関しては、英国のホラー映画『ヘル・レイザー』(1987年)っぽいニュアンスを持たせています。オリジナル版ではそこまでの怖さは感じさせませんが、やっぱり生きた人間を地獄送りにするキャラクターですから、本来は不気味な存在だと思うんです。そう考えると、僕の中で三藁にいちばん近いのは「ヘル・レイザー」シリーズに出てくる魔導士になるんです。

 物語はインディーズバンドの話ですが、音楽業界を舞台にしているという点では、ブライアン・デパルマ監督の『ファントム・オブ・パラダイス』(1974年)も意識しています。

——インディーズシーンで活躍するアーティストや地下アイドルへの憧れや夢が、物語のなかでは反転して、呪いへと変わってしまう。現代の若者たちが抱える心の闇がリアルに感じられます。

 40代のおっさんが書いた脚本なので、今の若者の心情をリアルに描けているかどうかは分かりません(笑)。今回の映画の中では大場美奈さん(SKE48)演じるインディーズアイドル・早苗に対して、長岡(森優作)はキラキラと輝いている人への嫉妬心から凶行を犯してしまいます。

 自分も輝くことができれば、凶行に走ることはなかったのですが、環境の違いなどもあって、ちょっとずつズレが生じて、過ちをおかしてしまう。才能があって活躍している人に嫉妬心を感じてしまうことは、自分もあります。長岡は心の中にいるもう一人の自分でもあるんです。

【画像】映画『地獄少女』復讐の物語を繰り広げる登場人物たち(9枚)

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