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【金ロー】大ヒット作『アナと雪の女王』に集まった、微妙な姉妹関係への「共感」

古典的物語観からの大きな脱却

『アナと雪の女王』のエルサ(左)とアナ(右)、中央は雪だるまのオラフ
『アナと雪の女王』のエルサ(左)とアナ(右)、中央は雪だるまのオラフ

 ピクサー・アニメーション・スタジオの創設者であるジョン・ラセターが製作総指揮を務めた『アナ雪』は、従来のディズニーアニメにはなかったさまざまな新機軸が打ち出されています。

 他人との違いに悩むエルサとは対照的に、妹のアナは明るく天真爛漫な性格です。ディズニーアニメで、ダブルヒロインは初めての試みでした。脚本も手掛けたジェニファー・リー監督は、『アナ雪』でディズニーアニメ初となる長編作品の女性監督となりました。

 また、従来のディズニーアニメでは、「魔女=悪者」という図式でしたが、『アナ雪』では生まれつき不思議な力を持ってしまったエルサが苦悩する様子を丁寧に描写しています。魔女を短絡的に「悪者」と決めつけない設定は、『魔女の宅急便』(1989年)や『千と千尋の神隠し』(2001年)を大ヒットさせた宮崎駿監督と親交の深かったジョン・ラセターだからこそのアイデアだったのかもしれません。

 もうひとつ、『アナ雪』が従来のディズニーアニメと大きく異なる点があります。ディズニーアニメに登場するお姫さまはどんなに苦労しても、最後にはかっこよくて心優しい王子さまが迎えに来てくれる――というストーリー展開が定番でした。しかし、『アナ雪』ではエルサもアナも積極的に自分から行動し、これまでになかった新しいヒロイン像を打ち立てています。王子さま的キャラとの出会いも用意されていますが、あくまでもサブプロット扱いです。ラブロマンスがメインではないことが、『アナ雪』は斬新でした。

 王子さまキャラとのロマンスは、あくまでもおまけ。その分、『アナ雪』ではエルサとアナという3歳違いの姉妹の葛藤が掘り下げて描かれています。もともとは明るい性格だったエルサですが、子どものときに一緒に遊んでいた妹のアナに怪我を負わせてしまったことがトラウマとなり、自分の部屋に引きこもりがちになってしまいます。

 姉と幼い頃のように仲良くしたいと願っているアナは、エルサに心を開くよう呼び掛けます。でも、ナイーブな神経を持つエルサはそれに応えることができません。長女として思慮深く育てられたエルサには、末っ子アナの無邪気さが逆にうとましく感じられてしまうのです。

【画像】「ありの~ままで~ 空へ風に乗って…」歌い継がれる『アナ雪』の名曲(8枚)

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