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『銀河漂流バイファム』放送から40年 打ち切りを回避した「意外な要因」とは?

強力な「裏番組」に苦戦するも、意外な要因で「打ち切り」回避

 登場メカよりも主要人物である少年たちを大きく描いている、「銀河漂流バイファム DVD-BOX 2」(タキ・コーポレーション)
登場メカよりも主要人物である少年たちを大きく描いている、「銀河漂流バイファム DVD-BOX 2」(タキ・コーポレーション)

 当時は大ヒットした作品でしたが、後年での評価はそれほどでもありません。それはどうしてでしょうか?

 本作を語るうえでよく言われることが、視聴率が低くて時間帯を飛ばされた作品。……そういったレッテル付けで語られることが多くあります。これに関しては、実際その通りでした。なぜならば、ほとんどの放送局の裏番組が人気絶頂期の『ドラえもん』だったからです。それでも7%ほどの視聴率がありました。

 逆を言えば、本作で『ドラえもん』の牙城を切り崩したいというTV局の意図があったのでしょう。当時のアニメ雑誌での扱いから紐解けば、アニメファンの多くは『バイファム』を視聴しているように思えるので、この試み自体は成功しているのでしょう。つまりアニメファンとファミリー層の数の多さが、そのまま結果に出たと考えれば納得です。

 そういった経緯から、局側は2クールでの打ち切りを通達しました。しかし、スポンサーであるバンダイはプラモのセールスが不調ではなかったことから4クールを望んでいたそうです。

 この時、サンライズは打ち切り用と4クール用、ふたつのシナリオを用意しました。ここで契機となったのがファン活動です。打ち切りのうわさを聞いたファンが署名活動を展開し、TV局に提出しました。こういったファン活動が実を結んだのか、本作の2クール打ち切りは回避されます。

 こうして時間枠を移動して放送が続くことになりましたが、前半の作風から若干の修正が加えられることになりました。簡単に言えば、従来のロボットアニメ路線への角度修正です。味方側のメカのパワーアップ、敵側にライバル的キャラを置くなどのテコ入れでした。

 しかし、それでも本作の魅力であった13人の少年少女の物語という部分はブレることなく貫いています。脚本家から低視聴率へのテコ入れで子供たちに死亡者が出るという従来のロボットアニメでありがちな展開を提案されたそうですが、神田監督は最後まで子供たちを生きのびさせることを決定しました。

 その結果、従来なら殺伐とした展開が多かったロボットアニメにあって、異色作とも言うべき作風を貫いて、大団円で最終回を迎えることになります。最終回を迎えても人気が急速に衰えることなく、翌1984年にはサンライズ初となる続編のOVA作品がリリースされました。

 1998年には外伝となる『銀河漂流バイファム13』が制作されています。この外伝は旧作内の第23話から第26話の中間エピソードに該当する話で、ふたたびTVシリーズをこういった形で制作するのは異例なこと。キャラのその後ではなく、当時のキャラをもう一度見せるという展開は、キャラ人気の高かった本作ならではの続編でしょう。

 ロボットアニメでありながら、巨大ロボの魅力よりも少年少女のドラマに注力した『バイファム』は、ロボットアニメが全盛だった時期だからこそ、それとは違うものを模索した結果、生まれた名作だったと思います。

(加々美利治)

【画像】どんな装備だったっけ? 量産機「バイファム」の一例を見る(6枚)

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