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冗談抜きで鳥肌! 秀逸な「伏線回収」に震えたアニメ 「絵柄で油断してた」

名作といわれるアニメは、ストーリーのなかに華麗な「伏線回収」が織り込まれている作品も多いです。何気ない描写がその後の展開につながってくる瞬間には、とてつもない爽快感が得られるものです。そこで今回は、秀逸な伏線回収が見られる3つの作品を振り返ります。。

ギャグ要素強めの作品と見せかけて?

アニメのノベライズ版『オッドタクシー』(小学館)
アニメのノベライズ版『オッドタクシー』(小学館)

 高く評価されるアニメのなかには、物語の至るところに伏線を散りばめ、それを巧みに回収していく秀逸なシナリオが、多くの人を唸らせた作品も多々あります。近年放送されたアニメのなかにも、鳥肌が立つほど伏線回収が上手く、話題になったものがいくつもありました。

●『彼方のアストラ』

 まず秀逸な伏線回収を語るうえで、2019年に放送されたアニメ『彼方のアストラ』は外せません。『SKET DANCE』の篠原健太先生が描く同名コミックスが原作で、宇宙への往来が当たり前になった近未来を舞台に、9名の少年少女たちが謎の球体によって宇宙の彼方へ飛ばされてしまうところから物語が展開していきます。

 壮大な宇宙を舞台とした冒険ものの設定で、序盤にはコメディ要素も強めでした。9人のメインキャラクターたちはみな個性的で、隙あらばボケをかまし、容赦なくツッコミを入れてくるため、それこそ『SKET DANCE』に登場するスケット団のコミカルなやりとりを見ているような感覚になるでしょう。

 ただ、そんな彼らはそれぞれ重大な秘密を隠しており、それがストーリー展開に大きく関わってきます。さらに宇宙船の通信機を壊し、状況を悪化させた犯人がメンバーのなかに紛れ込んでいることも分かり、後半にかけて「クローズド・サークル」的な展開が繰り広げられていきます。実は同作は、骨太なミステリー作品でもあるのです。

 いったい誰が何のために通信機を壊したのか、そもそも彼らはなぜ宇宙の彼方へ飛ばされなくてはならなかったのか……。すべての伏線が回収され、物語の見方が一変する瞬間は、誰もが鳥肌を立てずにはいられなくなるでしょう。実際にネット上でも「終盤の謎や伏線回収の嵐に度肝を抜かれた」「冗談抜きで鳥肌がヤバい」「マジで圧巻のひと言。万人におすすめできる一作」といった声が挙がっています。

 なお同作はミステリー作家や評論家からも高く評価されており、原作の最終5巻が発売された際には作家の陳浩基先生や相沢沙呼先生、阿津川辰海先生が、推薦コメントを寄稿していました。その道のプロたちをも唸らせたSFミステリーの結末は、ぜひご自身の目で確かめてみてください。

●『ODD TAXI(オッドタクシー)』

 近年の作品で伏線回収の秀逸さを語るなら、『ODD TAXI(オッドタクシー)』も負けていません。同作は2021年に放送されたオリジナルTVアニメで、翌2022年4月には『オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』のタイトルで映画化も果たしました。

 物語の主人公は、少し偏屈で無口な変わり者のタクシードライバー・小戸川です。タクシードライバーといっても人間ではなくセイウチの見た目をしており、彼のタクシーにやって来る乗客もまた、個性豊かな動物たちばかりでした。ヒロインにはアルパカ、友だちにはゴリラやシロテテナガザルなどが登場し、一見するとほのぼのする絵柄の動物アニメのようにも感じるでしょう。

 しかしそれは大きな間違いで、実際には手の込んだサスペンスとして完成度の高いシナリオとなっています。小戸川のタクシーで繰り広げられるたわいもない会話は、「失踪した少女をめぐるひとつの物語」へとつながっており、物語のラストで衝撃の結末にたどり着くのです。

 また同作の動物要素にも驚きの伏線回収が用意されており、その秘密が最終話で明らかになった際には「シニカルな動物アニメかと思ってたら、とんでもないサスペンスだった」「サスペンスだしホラーだし予想外の最終話だし、いい意味で裏切られたわ」などの絶賛のコメントが後を絶ちませんでした。

 ちなみに『オッドタクシー』の脚本を手掛けたのは、人気マンガ『セトウツミ』の原作者・此元和津也先生です。同作も登場人物たちのシュールな掛け合いが中心の作品ではあるのですが、後半での伏線回収は『オッドタクシー』に引けを取らない鮮やかさです。

【画像】目は同じだけど? 意外だった『オッドタクシー』セイウチ・小戸川の「本当の顔」を見る

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