存在感がますます高まる「TVアニメ」 ネット配信が全盛でも「放送枠」が増加するワケ
近年、アニメの存在感は際立つものがあります。2023年10月にスタートした『葬送のフリーレン』は日本テレビが31年ぶりに新設したアニメ枠「FRIDAY ANIME NIGHT」で放送されており、1話は金曜ロードショーの枠が使われたことも話題となりました。アニメはこの先どこへ向かうのでしょうか?
日テレ、フジテレビが新たな「アニメ枠」を新設
近年、アニメの存在感は際立つものがあります。10月にスタートした『葬送のフリーレン』は日本テレビが31年ぶりに新設したアニメ枠「FRIDAY ANIME NIGHT」で放送されており、1話は金曜ロードショーの枠が使われたことも話題となりました。
また、フジテレビも中国の動画配信サービス「bilibili(ビリビリ)」とパートナーシップを結び、新たな深夜アニメ枠「B8station(ビーハチステーション)」を新設しています。
フジテレビの決断に驚かされるのは、既に「ノイタミナ」「+Ultra(プラスウルトラ)」という、ふたつの深夜枠がすでにあるにもかかわらず、さらに枠を追加した点にあります。中国市場を重視した決断なのは明白ですが、それだけTV局がアニメを重要なコンテンツとして認識していることが証明されたと言えるでしょう。
それにしても、アニメの配信視聴が幅広く楽しまれるようになった今の時代に、なぜTV局はアニメの放送枠を拡大するのでしょうか。
ひとつには単純にアニメの影響力が非常に強くなったことが挙げられます。近年でも『鬼滅の刃』が大ヒットして社会現象となり、劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』は国内での興収が400億円を突破するなど圧倒的な数字を残しています。2022年は『ONE PIECE FILM RED』『劇場版 呪術廻戦 0』『すずめの戸締まり』と、3つの劇場作品が興収100億円を突破し、『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』も97.8億円とあと一歩のところまで迫りました。
しかし、「新海誠」「宮崎駿」といった、名前だけで多くの観客が劇場に足を運ぶほどのクリエイターは少ないため、多くの劇場アニメはTVアニメ化され人気を獲得した作品のなかから制作されることが多くなっています。TV局がヒット作の恩恵にあずかるには、「自社が関わる枠」、すなわち作品数を増やす選択が重要となっているのではないでしょうか。
また、アニメ作品が「独占配信」されるケースでは、なかなか作品が話題になりにくいという現象もたびたび起きています。作品のヒットを狙うコンテンツホルダーにとっても、同じ時間に多くの人が視聴し、SNSで話題が盛り上がるという点で、TV放送は重要な存在となっています。