わずか6分で退場! ジオン軍のMA「ザクレロ」 低い扱いの背景に「打ち切り」が?
『機動戦士ガンダム』32話に登場したザクレロはガンタンクを苦しめたものの、アムロ・レイが搭乗するガンダムMA形態と戦い撃破されました。果たしてザクレロと言う機体にはどのような意味があったのでしょうか?
実用テスト前に放棄された機体だった
通常、新たに登場した敵はストーリーに緊張感を与える存在です。強敵感を演出し、主人公を苦戦に追い込み、クライマックスで撃破されるのは定番のパターンと言えるでしょう。『機動戦士ガンダム』で言えばシャア・アズナブルのザクIIやランバ・ラルのグフ、黒い三連星のドムなどが代表的な例として挙げられるでしょうか。
その他のモビルスーツやモビルアーマーもさまざまな兵器や戦術を駆使し、ガンダムをはじめとするホワイトベース隊を苦しめていました。しかし、なかには明らかに扱いが悪い機体が存在しています。「MA-04X ザクレロ」はその筆頭と言えるでしょう。
モノアイとは異なる巨大な複眼、大きな口のような部分に装備された拡散メガ粒子砲、そして両手のヒートナタという外観は、それまでに登場したモビルスーツやモビルアーマーとは明らかに異なっています。強いて言えば最も近いのはメガ粒子砲とクローを装備しているビグロでしょうか。
このザクレロが登場したのは第32話「強行突破作戦」になります。パイロットのデミトリー曹長が第31話で撃破されたビグロのパイロット、トクワン大尉の敵討ちのために指揮官であるシャアの制止を振り切って無断出撃をする形で戦場へと姿を現しました。出撃から接敵までのシーンのシャアと副官であるマリガン少尉の会話では、ザクレロは実用テストの前に放棄された機体であり、シャアも存在を聞かされていなかったことが明かされます。
これまでに登場したジオン軍の機体はいずれも正式採用されたものであり、ザクレロは極めて特異な存在と言えるでしょう。
ホワイトベース隊との戦いでは、まず迎撃に出てきたガンタンクと交戦します。ザクレロの最高速度はマッハ5.2であり、本来地上で運用するのが前提となっているガンタンクに対して速度面で圧倒的に優勢となっていました。ガンタンクも機敏な動きを見せて攻撃をかわすなど善戦しますが対応しきれず、ミサイルの直撃を受けてしまいます。
このとき、デミトリーは「こんなモビルアーマーのできそこないなんぞ……」と呟いていますが、この台詞はザクレロへの愛情と正式採用に至らなかったことに対する不満が言わせたのでしょうか。