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子供たちを苦しめた、初代『マクロス』の放送時間 ロボットアニメに新たなカルチャー

1982年に放送されたTVアニメ『超時空要塞マクロス』は戦闘機からロボットへスムーズに変形する「バルキリー」や作中に登場するアイドル「リン・ミンメイ」の存在など、多くの斬新な設定が盛り込まれ大人気作品となりました。初代『マクロス』のファンは、日曜日の午後という放送時間に苦しめられながらも放送を楽しんでいました。

初代『マクロス』は「日曜の昼間」の放送が子供たちを苦しめた

筆者所有の『超時空要塞マクロス』レーザーディスク
筆者所有の『超時空要塞マクロス』レーザーディスク

 1982年に放送されたTVアニメ『超時空要塞マクロス』は、戦闘機からロボットへのスムーズな変形機構や作中に登場するアイドル「リン・ミンメイ」の存在など、多くの斬新な設定が盛り込まれ大人気作品となりました。その後も続編が作り続けられ、現在は新作映画『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』の製作が進行中です。日曜日の午後2時という放送時間に苦しめられながらも『マクロス』を楽しんでいたライターの早川清一朗さんが、当時の思い出を語ります。

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 友達から「戦闘機がロボットに変形するすごいアニメをやってる!」と聞いた時、「別に変形なんか珍しくもないじゃん」と思った記憶があります。

 1970年代から80年代にかけてロボットアニメは大ブームを巻き起こし、『マジンガーZ』や『機動戦士ガンダム』などの数々の名作を生み出しました。それらの作品のなかには戦闘機が登場する作品も数多く、多くは変形合体してロボットの一部になるのがお約束でした。飛行機が直接ロボットに変形していた作品は、当時だと『グロイザーX』くらいでしょうか。

 とはいえすごいアニメと聞けば見たくなるもの。いつ放送しているのか聞いたところ、「日曜の昼くらい」と言われ「そんな時間にアニメをやってるわけないじゃん!」と返した覚えがあります。

 しかし実際に日曜の朝に新聞のTV欄を確認すると、本当に午後2時に『マクロス』の文字が書かれていたのです。早速見てみようと思い立ちましたが、そう簡単にはいきませんでした。

 当時、TVは家に1台しかないのが普通で、家庭用ビデオデッキもまだ普及していませんでした。なので親がTVを見ていたらアウト。当然、インターネットもないので配信など夢物語。しかも日曜の昼は普段から友達と外に遊びに出ることも多く、午後2時にTVの前にいること自体、難しかったのです。

 そんなある日、運良く親が出かけて友達との約束もない日曜日がやってきました。今日しかチャンスは無い! そう考えTVの前に陣取り『マクロス』が始まるのを待ち構え……大きな衝撃を受けたのです。

『マクロス』はそれまで見てきたロボットアニメとは何もかもが違っていました。オープニングの「バルキリー」の発艦シーンは、小学生の目にも重厚なリアリティを感じさせました。

 さらには戦闘機形態「ファイター」から手足だけを展開させた「ガウォーク」や人型の「バトロイド」へと瞬時に変形するシーンにも目が釘付けになりました。ほんの数十秒見ただけで、「これはすごいアニメだ!」と思い知らされたのです。

【画像】キャラクターデザイン・美樹本晴彦氏の美麗な作画も魅力(7枚)

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