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映画『ミステリと言う勿れ』なぜ大ヒット? 背景に「TV局の事業転換」 ドラマに活路見出す

菅田将暉さん主演のTVドラマで盛り上がった勢いそのままに、劇場映画『ミステリと言う勿れ』が絶好調です。その背景には、TV局が「本気」になる理由もあって…?

放送「外」収入を稼げる「アニメ」と「ドラマ」

映画『ミステリと言う勿れ』ポスタービジュアル (C)田村由美/小学館 (C)2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社
映画『ミステリと言う勿れ』ポスタービジュアル (C)田村由美/小学館 (C)2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社

 映画『ミステリと言う勿れ』が大ヒット中です。

 2023年9月15日に公開され、11月に入ってもその勢いは衰えず、観客動員数300万人、興収40億円を突破している本作は、田村由美さんの同名マンガを原作にしたテレビドラマの劇場版という位置づけです。テレビドラマ放送時も大きな話題となっており、映画のヒットも有力視されていました。

 このヒットは、原作とドラマの内容の面白さは当然の前提として、テレビ局が再び「ドラマの劇場版」に力を入れ始めていることが背景要因となっていると考えられます。それはなぜなのでしょうか?

 2023年10月期のテレビアニメは、75本近くあるようです。アニメファンの方々は何を観ようか、正直言って決めきれないと悩んでいるのではないでしょうか。

 しかし、増えているのはアニメだけではありません。今期はテレビドラマの放送本数も一週間で50本を超えています。これは再放送を除外した新作だけの数字です。

 テレビ局は今、アニメだけではなくドラマにも非常に力を入れているのです。アニメは今、世間で大人気なのでわかりやすいと思いますが、ドラマは昔ほど視聴率が取れているというわけではありません。なぜドラマにも力を入れているのでしょうか。

 それは、テレビ局がビジネスモデルの転換を迫られているからです。

 テレビの主な収入源はCM枠の販売です。この枠は視聴率によって値段が決まり、「放送収入」と呼ばれています。近年、この放送収入が各局とも右肩下がりです。そのため、放送以外で稼げるコンテンツを作り、「放送外収入」を増やす必要があるのです。

 これで白羽の矢が立ったのがアニメとドラマです。アニメは製作委員会に加わりヒットすれば大きな利益還元があり、グローバル市場からも利益を見込めます。今期は『葬送のフリーレン』や『七つの大罪 黙示録の四騎士』が、新たに設けられたアニメ放送枠で放送中です。人気が出れば、劇場版も作って映画館からも利益を出せるでしょう。

 そして、ドラマも放送外収入を稼げるコンテンツです。ドラマは「TVer」などの無料配信サービスのキラーコンテンツとなっており、配信からの広告収入が見込め、人気が出ればアニメ同様に劇場版から利益をあげることができます。

 実際に、2022年度の在京キー局の決算では、前年比で放送収入は全局マイナスとなっています。しかし、アニメに強いテレビ東京とドラマに強いTBSだけは、放送外収入の増加によって全体ではプラスになっています。

 今年は、TBSドラマの劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』も40億円を突破しており、『ミステリと言う勿れ』とあわせてドラマ発の映画が2本40億円超えの大ヒットを記録しています。これは実写邦画では『キングダム 運命の炎』に続く2と3位の記録です。そのほか、いくつもドラマの劇場版が今年は公開されており、今後もこの傾向は続くと思われます。

【画像】何を乗せてんだ? 『ミステリと言う勿れ』の謎すぎるポスター(5枚)

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