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時代の先端を切り拓いた「コナミ」のファミコン音楽 作り手の「執念」すら感じるサウンド史

ファミコン華やかなりし1980年代には、サウンドに力を入れたゲームが数多く発売されていました。なかでもコナミ(現:コナミデジタルエンタテインメント)のファミコンゲームは、今なお聞き継がれるほどのサウンドが数多く生み出されました。その歴史を追いかけます。

ファミコンで際立っていたコナミサウンド

1986年にファミコンで発売された『グラディウス』(コナミ)では、その美しいメロディとサウンドが多くのプレイヤーの心に刻まれた
1986年にファミコンで発売された『グラディウス』(コナミ)では、その美しいメロディとサウンドが多くのプレイヤーの心に刻まれた

 1983年に発売されたファミリーコンピュータ(ファミコン)が大ブームとなるなか、サウンドに力を入れたゲームも数多く発売されました。技術面から見ると、当初のファミコンゲームで使える音は、主にメロディを担当する矩形波がふたつにベースラインを担当する三角派がひとつ。そして主に効果音に使われていたホワイトノイズの、合計4つしかありませんでした。

 それでも当時のクリエイターは工夫を凝らし、数々の名曲を練り上げてきました。なかでも特に優れた曲を数多く送り出してきたメーカーのひとつがコナミ(現:コナミデジタルエンタテインメント)です。2023年11月15日に、コナミのファミコンゲーム44タイトルのサウンドを収録したCD-BOX「ミュージック フロム コナミアンティークス ~ファミリーコンピュータ~」が発売されるのにちなんで、時代の最先端を切り拓いたコナミのファミコンサウンドを振り返ります。

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 1985年4月に『イー・アル・カンフー』と『けっきょく南極大冒険』でファミコンに参入したコナミは、参入2年目となる1986年以降に、その優れたサウンドが高く評価されるゲームを次々と送り出し、本領を発揮し始めていました。

 1986年に発売されたタイトルだけでも『ツインビー』『グーニーズ』『がんばれゴエモン!からくり道中』など枚挙にいとまがありませんが、なかでも同年4月に発売された『グラディウス』は、当時のファミコンタイトルとしてはグラフィック・ゲーム性・サウンドの3つが珠玉のレベルに達しており、極めて印象深いタイトルとなっています。

 また、1986年は「ディスクシステム」が登場した年でもありました。ディスクシステムには「波形メモリ音源」という拡張音源が搭載されており、より丸みを帯びた柔らかい音を表現できるようになったのです。このディスクシステムでも、コナミは『悪魔城ドラキュラ』という名作を送り出していますが、特にステージ1のBGMである「VAMPIRE KILLER」は、その後のシリーズ作でもアレンジを施されながら使用されており、多くの人の心を虜(とりこ)にし続けています。

 ディスクシステムでは他にも『エスパードリーム』や『愛戦士ニコル』、『グリーンベレー』『迷宮寺院ダババ』『ドラキュラII 呪いの封印』など、名曲ぞろいのタイトルが次々と登場しており、当時のコナミがサウンドにつぎ込んでいたエネルギー量のすさまじさを物語っています。

 蛇足ではありますが、当時のコナミは家庭用パソコン「MSX」向けに専用の音源「SCC」を開発するほどサウンドに力を入れていました。まだゲームサウンドを「ピコピコ」などと言って揶揄(やゆ)する人が多かった時代に、絶えず最先端を走ってサウンドの価値を高めようとしていたのがコナミだったのです。

【画像】衝撃の「13枚組CD」! コナミのファミコン44作品の「音楽体系」(4枚)

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