時代の先端を切り拓いた「コナミ」のファミコン音楽 作り手の「執念」すら感じるサウンド史
独自の音源チップをカセットに組み込む徹底ぶり

1987年に入ってもコナミサウンドの勢いは止まりません。『火の鳥 鳳凰編 我王の冒険』や『月風魔伝』『魔城伝説II 大魔司教ガリウス』など、名曲ぞろいのタイトルが続々と登場します。『グラディウス』の続編である『沙羅曼蛇』も発売されましたが、本当に4音で構成されているのか疑わしいほど、はるかにグレードアップしたサウンドに聞きほれた方も多かったのではないでしょうか。
さらに1988年には『コナミワイワイワールド』『魂斗羅』など、今なお高いクオリティのサウンドが評価されているタイトルが続々と登場しています。特に『グラディウスII』は、ファミコンの性能限界を超えたレベルの移植がアーケード版から行われており、サウンドも非常にクオリティの高い仕上がりとなっていました。
もちろん、ゲーム開発の工夫と熟練だけでは限界があるのもまた事実です。1980年代後半に入ると複数のメーカーでファミコンカセットに追加音源を搭載する試みが行われており、コナミも同時に6つ音が鳴らせる独自の音源「VRC VI」を開発し、究極のファミコンサウンド実現へとまい進していたのです。
「VRC VI」が使用されたタイトルは『悪魔城伝説』『魍魎戦記MADARA』『エスパードリーム2 新たなる戦い』の3つです。特に『悪魔城伝説』の最初の教会・町・墓場ステージで流れる「Beginning」や『魍魎戦記MADARA』の後半フィールド曲「MA・DA・RA」は、極めて評価が高い名曲として知られています。
そして1991年にはFM音源を搭載した「VRC VII」も登場しましたが、この時期にはすでにスーパーファミコンをはじめとする16ビットゲーム機にユーザーの興味が移っていたため、ファミコンでは『ラグランジュポイント』のみに使用されました。なお、『ラグランジュポイント』のサウンドが奏でるBGMは、作り手の執念すら感じるほどの深みに満ちており、ファミコンのコナミサウンドが紡ぎあげてきた歴史の輝きを感じることができるでしょう。
ファミコンブームのなかでプレイヤーを魅了した数々のコナミサウンドは、きっといま聞いても、あなたの心を揺さぶる力に満ちあふれているに違いありません。
(早川清一朗)
●「ミュージック フロム コナミアンティークス ~ファミリーコンピュータ~」は2023年11月15日(水)発売。コナミがファミコンなどで発売した44作品のサウンドを13枚組CDに収録。価格は13,200円(税込)。
※収録タイトル:『イー・アル・カンフー』『ツインビー』『グラディウス』『がんばれゴエモン! からくり道中』『悪魔城ドラキュラ』『もえろツインビー シナモン博士を救え!』『謎の壁 ブロックくずし』『エスパードリーム』『グリーンベレー』『愛戦士ニコル』『迷宮寺院ダババ』『エキサイティング ビリヤード』『月風魔伝』『アルマナの奇跡』『魔城伝説II 大魔司教ガリウス』『ドラキュラII 呪いの封印』『沙羅曼蛇』『ファルシオン』『ドラゴンスクロール 甦りし魔竜』『コナミワイワイワールド』『魂斗羅』『エキサイティング サッカー コナミカップ』『バイオミラクル ぼくってウパ』『ファイナルコマンド 赤い要塞』『アイドルの妖精伝説』『マッド・シティ』『グラディウスII』『がんばれゴエモン2』『コズミックウォーズ』『ツインビー3 ポコポコ大魔王』『悪魔城伝説』『がんばれゴエモン外伝 きえた黄金キセル』『SUPER魂斗羅』『モアイくん』『魍魎戦記MADARA』『クォース』『悪魔城すぺしゃる ぼくドラキュラくん』『パロディウスだ!』『夢ペンギン物語』『ワイワイワールド2 SOS!!パセリ城』『ラグランジュポイント』『クライシスフォース』『がんばれゴエモン外伝2 天下の財宝』『エスパードリーム2 新たなる戦い』
【ボーナストラック】CONTRA FORCE (NES)