『シャーマンキング』作者・武井宏之にも襲いかかる「試練」の数々 手掛けた仕事の「約半分」は世に出ていない?
「ありえない報酬」でも「愛」だけで尽力したが…?

武井 だからさっきの話じゃないけど仕事の依頼があると嬉しくなって、ついうっかり引き受けちゃうのよ。よっぽどタイミングが悪い時以外。でも当然数が増えると問題も増える。……たぶん半分はあるんじゃないかな。立ち消えたりして世に出てない絵が。
――なんと! それは聞き捨てならないですね。はたから見ると、正直、順風満帆のように思えるんですが……
武井 全然! 改名考えてるぐらいには試練多いです。事故みたいなやつだと、とあるソーシャルゲーム。なんかやたら遠回しな謎のリテイク入るなあと思ってたら、結局のところいわゆる普通の絵柄が欲しいらしくて。今で言うAIのイラストみたいなやつ。
「じゃあなんでここに来たし! ひと月無駄にしたわ!」って(笑)
以降、それ系の事故はないけど半分で済んでるならまだマシな方だと思うし、外的な要因はどうにもならないから大体自分のせいにしとけばストレスはない……っていうか実際自分のせいだし、幸い自分に甘いからすぐ解決する(笑)
ただ、なかにはまだ悔しいのもある。例えば自社の商品を売るためのアニメ企画なのに、そのメーカーが出資しないとかあり得ないでしょ。
――え? マジですか!?
武井 そのメーカーの担当部署も出版社も僕もそりゃもうすごい熱意でチーム一丸で企画を進めてきたんだけど、それがどうにもトップに理解してもらえなくてね。僕は嫌いだったけど、「こうなったら数字で示すしかない」ってなって、何とか商品化にこぎつけて幸いにもダントツで成果を出せた。
そしたら……気持ちはわかるんだけど怒っちゃって、しまいにはロイヤリティすら払いたくないと言い出したの。もとよりウチに入るのは小数点以下のパーセンテージとかいうあり得ない数字だったから、「愛」だけでやってたけど、企画を通すためにデザインとアイデアが何度も何度も意味の無い方向へ修正をお願いされるから結局自分から身を引くことにした。悔しいけど尊敬してるメーカーの信念も大事にしたいからね。
――それは悔しいですね……。自分もいろいろなお仕事をさせてもらい、社内の政治がプロジェクトに影響を与えた事例はいくつか知っています。しかしここまで直球で酷い話も珍しいですね。ロイヤリティの数字も驚きです。普通、看板を背負って立っている人への報酬として1%未満はないでしょう。それを「愛」でカバーしていただけに、その結末は心中を察してあまりあるものがあります。それにしても、世に出なかったイラストの画集とか、そういうものは出せないでしょうか……権利的には難しいですかね……?
武井 昔の絵は恥ずかしいから出さなくていい……。ただどれも勉強になったし、まだ発表されてない企画もいくつかあるので今後に生かされてくれれば良いなと思う。
その前にまだ途中のやつもたくさんあるし順番に描き切っていかなきゃなので……。
――気になる発言ですね。未発表の企画はもちろんですが、途中のものを描き切る……。それが何なのか正式発表までは想像を働かせるとして、終わらせる意思を示していただけたことは、ファンの方にとって朗報だと思います!
それでは、今回は長時間にわたってお話を聞かせていただき、どうもありがとうございました!
* * *
これにて武井先生へのロングインタビューは終了となります。
本当は、まだまだお聞きしたいことがたくさんありましたが、それはまた次の機会に! できればそう遠くない時期に叶えたいものです。
というのも、『SHAMAN KING』最新作は『SKY』に向けてマガポケでの連載が続きますし、来年2024年1月からは『SHAMAN KING FLOWERS』のTVアニメも始まります。ネタは尽きないのです!
お忙しい先生ですが、その隙を縫って、またお会いできることを楽しみにしています。
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(タシロハヤト)










