MS「ギャン」とその系譜 アムロとも渡りあったマ・クベとともに記憶される高性能機!
モビルスーツ「ギャン」は、パイロットのマ・クベ大佐による作戦も相まって、アムロが搭乗する「ガンダム」相手に大健闘を見せました。量産こそされませんでしたが、その後の機体に影響を与えた「ギャン」について解説します。
第37話にのみ登場したモビルスーツ「ギャン」
YMS-15(MS-15)「ギャン」は、『機動戦士ガンダム』第37話「テキサスの攻防」に登場したモビルスーツです。ジオン軍のマ・クベ大佐が搭乗し、優秀な近接攻撃能力を発揮して「ガンダム」を苦しめましたが、ニュータイプとして絶頂期を迎えたアムロ・レイには歯が立たず、2本のビームサーベルで挟み込むように切り裂かれて撃破されます。なおマ・クベ大佐は第18話「灼熱のアッザム・リーダー」で「アッザム」に搭乗しガンダムと交戦しており、敗れたものの生還した数少ないパイロットでもありましたが、2度目の生還はかないませんでした。
西洋の甲冑を着込んだ騎士のような外観の「ギャン」は、登場回数こそ少ないものの、マ・クベの存在感も相まって、非常に印象的なモビルスーツです。作中ではマ・クベが「わたし用に開発していただいたMS」と語っていますが、のちに「ゲルググ」と次期主力機を争ったがコンペティションに敗れたという設定が付加されています。
なお、富野喜幸総監督(現:富野由悠季)が描いたラフスケッチには、「#37用 やられモビルスーツ “ハクジ” マ・クベ用」と書かれており、当初から第37話用だったこと、元の名前は「ハクジ」であること、そして最初からマ・クベ専用機としてデザインされていたことがわかります。
武装は、ジオン軍のモビルスーツとして初めてビームサーベルを装備し、そのシールドには宇宙機雷「ハイドボンブ」と小型の「ニードル・ミサイル」を備えました。シールドの射出口は10あるいは12か所とされており、装填数はハイドボンブが12基ないし25基、ニードル・ミサイルが56発ないし60発とされています。
また「ギャン」の股間部分には、脚部の反応速度と駆動力を向上させる「流体パルスアクセラレーター」と呼ばれるユニットが装備されており、激しいステップを踏むことが出来るようになっています。さらにパイロットの技量を補う操縦システムを標準装備しており、白兵戦能力の向上が図られています。エースパイロットとしての描写が無いマ・クベが、一時的にとはいえアムロのガンダムと互角に戦えたのは、これらの装備のおかげといえるでしょう。