EDで落胆? もっと作り込んでほしかったファミコンの「ドラマ&映画ゲーム」
版権物ゲームの意外な名作とは? 主役は時代劇の有名人物
●天下の御意見番 水戸黄門

約50年にわたってTVドラマ版が作られた時代劇『水戸黄門』も、1980年代の後半にファミコンソフト化されています。その名も『天下のご意見番 水戸黄門』と言い、「黄門様」でおなじみの「水戸光圀」一行が各地で巻き起こる事件を解決していく……という内容でした。
本作はバランス面で不安定さが残る一方、勧善懲悪と人情話が主体の『水戸黄門』の雰囲気を、どうにかゲームへ落とし込もうとした開発陣の試みがうかがえます。
オープニングやゲーム中に番組テーマ曲「あヽ人生に涙あり」がかかったり、スタート時に「この紋所が目に入らぬか!頭が高い、控えおろう!」と合成音声でしゃべったりと、『水戸黄門』のテイストを再現するためのさまざまな仕掛けが見られました。
本作はアクション要素を含むものの、本質は「ステージ内で情報を集め、悪人の企みを暴く」ことにあります。そのため、プレイヤーは「助さん」(佐々木助三郎)や「格さん」(渥美格之進)となり、黄門様に変わってひたすら情報収集に奔走することになりました。情報を一定まで集めて、宿屋に戻って黄門様に状況を報告し証拠を揃え、悪人を問い詰めることができればステージクリアという流れです。
黄門様に助さんと格さんはもちろん、一行を影から支える「かげろうお銀」やひょうきん者の「八兵衛」など、視聴者に馴染み深いキャラクターも扱うことができ、ストーリーも「水戸黄門」シリーズで見られるような構成を上手く取り入れていました。
また本作を手掛けたのがサンソフトだからか、農民が主役のアクション作品『いっき』を彷彿とさせるミニゲームが入っているなど、全体を通して見どころが多いのも特徴です。1988年には日本を飛び出して世界を巡る『水戸黄門II 世界漫遊記』が、続編として発売されました。
(龍田優貴)