『科学戦隊ダイナマン』の人気悪役「ダークナイト」登場から40年 戦隊のドラマを動かした「第三勢力」
「スーパー戦隊シリーズ」第7作『科学戦隊ダイナマン』の人気悪役「ダークナイト」は、その魅力あふれるデザインでファンも多い悪役です。このようにシリーズでたびたび話題となる「第三勢力」について振り返ってみましょう。
「第三勢力」は早くから存在するが、「ダークナイト」は斬新だった

本日11月19日は、40年前の1983年に、『科学戦隊ダイナマン』第42話「挑戦ダークナイト」が放送された日。サブタイトルにもあるように、闇の使者ダークナイトが初登場したエピソードでした。
ダークナイトとは、ダイナマンとジャシンカ帝国の前に現れた正体不明の戦士。この後のエピソードから第三勢力として物語に大きく関わっていきます。その戦闘力は高く、物語の終盤にはラスボスであるジャシンカの帝王アトンを単独で倒しました。
その正体はアトンの実の息子であるメギド王子。ジャシンカの乗っ取りを企てていた女将軍ゼノビアの罠で幽閉されましたが自力で脱出、その復讐のためにダイナマンとジャシンカ双方に単身戦いを挑んだというわけです。
このダークナイトの登場と暗躍により、本作終盤の物語は大きく動きました。それまでの「スーパー戦隊シリーズ」にもあった、第三勢力の登場により敵味方ともに大きなドラマが動き出し、連続ストーリーで最終回を迎えるというパターンに貢献したキャラクターがダークナイトです。
しかし、このダークナイトはそれまでの第三勢力キャラと違った点がいくつかあります。それはデザインです。これは本作からデザインを担当した出渕裕さんによるものですが、ヒーローに近い整ったもので、単なる敵役というパターンとは一線を画していました。
また、第三勢力と言っても急に現れたキャラではなく、物語最初からいたメギドである点も見逃せません。それまでの第三勢力キャラのパターンで言えば、前述のゼノビアがそれに当てはまります。このメギドが父であるアトンを倒して自力で王座に就くというドラマは、この後の「戦隊シリーズ」でもたびたび見る悪側キャラクターの成長を描くものでした。
これはプロデューサーである鈴木武幸さんが、本作で挑んだアニメテイストの導入が要因かもしれません。もともとメギドはアニメ作品でいうところの美形キャラとして設定されました。これにより戦隊メンバーと同年代の敵キャラという新しい要素が本作に加わったわけです。
途中から登場した王女キメラもそのテイストを受け継いだキャラでした。最後にはメギドとふたりでジャシンカを背負って立つことになるというドラマは、悲劇的に終わるものの悪側の成長ドラマを子供番組という枠で見せることに成功します。
完全な余談ですが、『ダイナマン』の放送当時、同時期に放送していたアニメ『聖戦士ダンバイン』に登場した黒騎士とダークナイトの共通点を指摘するファンも一部にいました。地方によっては番組が連続して放送されていたこともあって、あくまでもシャレの一環として取り上げられていたのでしょう。