ラスボスを生んだ酔っ払い? 元凶的「やらかし」をしたジャンプのモブキャラたち
マンガの物語の発端やターニングポイントには、いろんな悲劇がつきものですが、なかには名もなき「モブ」がそのきっかけを作っていることも少なくありません。
悪意はないのにやらかした普通の人も
マンガの物語の発端や、ターニングポイントになるシーンでは、何かしらの事件が起きている場合が多いですが、なかにはその事件を名もなきキャラが引き起こしている場合があります。数々の名作を生み出している「少年ジャンプ」のマンガから、余計なことをして、ストーリーに大きな影響を与えてしまったキャラクターを紹介します。
「やらかしキャラ」のなかで、はっきりと悪意を持って行動しており、擁護のしようがないのが『ドラゴンボール』魔人ブウ編に登場する「ライフル銃の男」です。そもそもこの男は人間をライフル銃で撃ちたいという異常な願望を抱き、魔人ブウが暴れている騒動に紛れて、一般人相手に人間狩りという名の殺人を楽しむ危険人物でした。
この男と執事のふたり組が調子に乗って蛮行を働いたせいで、魔人ブウの「純粋悪」と呼ばれる形態が生まれてしまいます。地球で破壊を繰り返していた魔人ブウは、ミスター・サタンとの交流で徐々に落ち着きを見せていました。
しかし、ライフル銃の男がブウの犬とミスター・サタンを撃ったことで怒りが爆発します。ブウはなんとか感情を抑えようとしたものの、この時に悪の心だけを持った「純粋悪」のブウが誕生してしまい、その後地球人がほぼ殺されるという危機に追いやられることになりました。
悪気はないものの、判断ミスともいえるセリフを長年ツッコまれているのが、『北斗の拳』の一部で「シェルターの御婦人」と呼ばれる女性です。核戦争勃発時、地上を死滅させる勢いの核攻撃と、それによる死の灰から逃げるケンシロウ、ユリア、そしてトキの3人は避難用に作られたシェルターへとなんとかたどり着きます。しかしそこは、すでに大勢の子供たちと数人の大人で埋め尽くされていました。
そこで数少ない大人であった御婦人が、シェルターの定員はどう詰めても残りふたりだと告げるのです。それを聞いたトキはケンシロウたちをシェルターに押し込み、自らは外からシェルターの扉を固く閉じました。
しかし、コマを見ると満員電車と比べても余裕がありそうですし、子供を担ぐなどの工夫もできるでしょう。しかし、御婦人のひと言でトキは死の灰を被ることになり、トキは病で北斗神拳伝承者の道を断念します。
トキの兄であるラオウは、かつて「おれが道を誤ったときは、おまえの手でおれの拳を封じてくれ」と語ったことがあるほど、トキの精神性と実力を買っていました。もしシェルターの出来事がなければ、トキはラオウの暴走を止められていたかもしれません。
『ジョジョの奇妙な冒険』第1部で「ディオに絡んでしまったモブおじさんたち」も、忘れてはいけません。このエピソードの重要なアイテムは、血が付着すると骨針という鋭い針が飛び出す「石仮面」です。
ディオは当初、ジョースター家の財産を乗っ取るために、主人公・ジョナサンにこの石仮面を被せて血を浴びせ、骨針で殺そうと考えていました。そんなディオは、計画がばれそうになって酒を飲んで荒れていた際、夜道でぶつかったおじさんふたりに「どこ見て歩いてんだ」と絡まれます。
ディオは実験ついでにおじさんの片方をナイフで刺すと、もうひとりのおじさんに仮面をかぶせて血を浴びせ、骨針で死ぬか見てみようとします。しかし仮面をかぶったおじさんは、死ぬどころか若返り、凄まじい腕力・凶暴性をもつ吸血鬼に変身しました。これを見たディオは「石仮面の吸血鬼化の力」に気付き、ボスキャラとしての道を歩み始めることになるのです。
アニメ限定のキャラでは、『ONE PIECE』の「処刑台のロジャーに財宝をどこに隠したか聞いてしまった男」も知られています。ローグタウンでのエピソードの過去回想にて、この男の余計な質問に対し、ロジャーは「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」について語り、「探せ! この世の全てをそこに置いてきた!」という有名なセリフを残しました。
そのせいで、世界中の海賊たちに夢を持たせてしまったのですから大変です。ネット上では「こいつのせいで大海賊時代になったし、あとで海軍に処刑されてそう」「ロジャー海賊団の誰かが雇ったサクラなのでは?」とも噂されています。
ロジャーの思惑を考えれば、おそらくこの男が質問しなくても「ワンピース」に関する話をしていたと思われますが、あまりにもドンピシャな問いかけをしてしまった彼は、もしかすると大勢の人たちから恨まれているかもしれません。ある意味気の毒なキャラです。
(マグミクス編集部)