スーパーファミコンの底にあった「謎の端子」 時代を先取りした「夢の機器」が遊べた?
時代が違っていたら主流になっていたかも?

サテラビューの最も大きな特徴は、BS放送を通してゲームをダウンロードできたことです。専用カセットである『BS-X それは名前を盗まれた街の物語』は、「親亀子亀方式」と呼ばれる、カセットにカセットを挿すタイプになっており、子亀としてメモリーパックを挿入することで、サテラビューからダウンロードしたゲームを遊べる仕組みになっていました。
配信されたゲームのラインナップには『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』『スーパーボンバーマン』などのビッグタイトルも多数存在しています。また、オリジナルゲームとしては、日本では未発売だった『ワリオの森』や、ミニゲームを多数収録した『カービィのおもちゃ箱』など、有名なタイトルも配信されていました。
既存のゲーム以外にも、スーパーファミコンの画面をみながら音声放送を楽しめる「ネット連動型のラジオ番組」も充実していました。
代表的な作品には、お笑いコンビ「爆笑問題」のふたりがパーソナリティを務めるトーク番組「爆笑問題のシリコン町内会」や、女優の裕木奈江さんがさまざまなメーカーの社長を招いてトークを楽しむ「裕木奈江のGE-MUの壺」といった番組が放送されていました。
番組の放送時間外には「ファミ通」や「グッズプレス」など、実際に発売されている雑誌の内容を閲覧することも可能でした。インターネットが浸透していない時代のコンテンツとしては、驚くべき充実度といえるでしょう。
現在のゲームハード、例えば「Nintendo Switch」や「PlayStation 5」などでは当たり前のように利用できるゲームのダウンロードサービスが、すでにスーパーファミコンの時代から実現していたのです。サービス自体は5年ほどで終了してしまったため、ビジネスとしては芳しくなかったようですが、現在の任天堂の「Switch Online」の先祖ともいっても過言ではありません。
BS放送を通したオンラインゲームの実現やゲームの配信サービス展開など、先進的なゲーム体験を提供した「サテラビュー」は、当時の子供たちにとっては「夢の機器」になるはずでしたが、当時は家庭用のBS放送受信機器自体がそれほど普及していなかったこともあって、あまり認知が広がらないまま衰退してしまいました。
もし、当時から多くの家庭にBS放送が普及するといった条件が整っていたとしたら、歴代家庭ゲーム機の定番機種のなかに「サテラビュー」が名前を連ねていたかもしれませんね。
※本文を一部修正しました(11月23日11時45分)
(マグミクス編集部)