「コナミコマンド」はアニメの歌にも? 裏技ブームで生まれた「上上下下…」のルーツ
「上上下下左右左右BA」として、幅広い世代のゲームプレイヤーに記憶される「コナミコマンド」のルーツは、1986年にファミリーコンピュータに移植された『グラディウス』の裏技でした。その後さまざまなゲームに搭載され、やがてゲームの枠を飛び越え、いまや文化の一部を形成する要素になっています。
ファミコン少年ならだれもが知っていた「隠しコマンド」
ファミコン版『グラディウス』の隠しコマンド「上上下下左右左右BA」は、「コナミコマンド」と呼ばれて裏技の代表格として扱われるようになりました。当時『グラディウス』を楽しみ、その後もさまざまな形で「コナミコマンド」と触れ合ってきたゲームライターの早川清一朗さんが、当時から今へとつながる記憶を語ります。
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うえうえしたしたひだりみぎひだりみぎびーえー。
口ずさんでみると実にリズムの良いコマンドです。
筆者がファミコン少年だったころ、バグを利用した現象や隠しコマンドなどは「裏技」と呼ばれており、さまざまなファミコン雑誌が力を入れて特集していました。実際に多くの裏技を試してきたはずなのですが、今でもやり方をはっきり覚えているのはこの「コナミコマンド」だけです。30数年経っても、記憶から消える気配すらありません。
この「コナミコマンド」が初めて実装されたのが、1986年にファミコンに移植された『グラディウス』です。『グラディウス』は当時としては美麗なグラフィックと未来的なサウンドが印象的なタイトルで、圧倒的な敵の攻撃を多種多様なパワーアップによって切り抜ける、緊張感と爽快感をあわせ持つ傑作シューティングゲームでした。
普段は「レーザー」を使って敵を粉砕し、大量のモアイが登場するステージでは「ダブル」に切り替えて上方にいるモアイの口めがけてショットを叩き込むという戦略的な戦い方ができるのも特筆すべき点でしょう。
ただ、『グラディウス』には欠点もありました。パワーアップが前提のバランスとなっているので、うっかりやられてしまうと立て直しが難しく、残機が沢山あっても何もできずにゲームオーバーになってしまうことが多かったのです。
「このゲーム、最初の1機がやられたらそこで終わりだよな」
そう思っていたある日、愛読しているファミコン雑誌に、簡単に自機をパワーアップできるコマンドが裏技として紹介されていたのです。これが筆者と「コナミコマンド」の出会いでした。
後で知ったのですが、このコマンドはアーケード用の『グラディウス』をファミコンに移植する際に、難易度の高さに苦労していたスタッフのために組み込まれたデバッグ用のものでした。
こうして世に姿を現した「コナミコマンド」は効果の強さと覚えやすさから「裏技」の代名詞となり、その後は様々な作品に実装されるようになりました。