味方殴ってステータス上げ? FCキッズを翻弄した『FF2』の「斬新すぎる成長システム」
1986年に登場した『ドラゴンクエスト』の影響で、ファミコンRPGの多くは『ドラクエ』をベースにしたシステムが主流に。しかし、1988年に発売された『FF2』は、経験値を得てレベルアップするシステムではありませんでした。そこで今回は『FF2』独自の成長システムについて振り返ります。
ステータス上げの裏技?「パーティアタック」がもたらした衝撃
ファミコンソフトは1000作品以上も発売され、さまざまなゲームジャンルが確立されました。なかでも1986年に『ドラゴンクエスト』(以下、ドラクエ)が誕生したことで、多くのRPGは『ドラクエ』をベースにしたシステムが採用されています。
しかし、『ファイナルファンタジー』(以下、FF)シリーズの2作目となる『FF2』は、『ドラクエ』とは異なる斬新な成長システムだったことをご存知でしょうか。
そこで今回は「難易度が高い」「マニア向け」などと言われている、ファミコン版『FF2』の成長システムについて振り返ります。
『ドラクエ』以降の多くのRPGは、「モンスターを倒して経験値を得てレベルを上げる」「レベルアップでステータスが上がり、呪文や魔法を覚える」というのが定番ですが、『FF2』の場合はキャラごとのレベルや経験値といった概念がありません。
では、『FF2』のキャラはどのように成長するのかというと、「戦闘時の行動に応じて、それぞれの能力が向上していく」というものでした。
つまり「たたかう」コマンドを主体に選んだキャラは「ちから」をはじめ、戦士タイプの能力が上がり、「まほう」を主体に選ぶと魔法タイプの能力が上がるといった感じで自然に成長していきます。
そして「HPやMPは戦闘開始時よりも減少する」ことで体力や魔力が成長し、各キャラのHPやMPの量が増えていきます。
すると、この仕組みを逆手にとり、自分たちで仲間を攻撃する「パーティアタック」で確実にHPを減らし、仲間のHPを増やすという技が流行しました。
これを繰り返すと簡単にHPを増やせるため、最初のうちはひたすらHP上げにいそしみましたが、結果的にゲームの攻略を難しくしてしまう罠でもあったのです。
『FF2』は終盤近くになると、即死攻撃やマヒなどの状態異常系の攻撃を多用してくる敵が登場します。また、HPの総量の◯%のダメージを与える、いわゆる「割合ダメージ」の攻撃も行ってくるため、いくらHPが多くても安心できません。
それに『FF2』は宿屋に泊まるとHPやMPを全快してくれますが、減少しているHPやMPに応じて宿泊料金が変動するシステムです。つまり回復しなくてはならないHPが多すぎると、すぐ金欠に陥ります。
さらにHPが高すぎると序盤の敵はすぐに逃げてしまい、ほかのステータスを上げることが困難になるという弊害もありました。
最初のうちは、HPが増えるのに面白みを感じてパーティアタックで育てまくったものですが、それをやりすぎたことでプレイヤー自身の首を締めることになったのです。