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波平は本当に「年収1千万円」? 都市伝説を生んだ昭和期のエピソードとは

『サザエさん』に登場する磯野波平の年収は「1000万円」ではないかと、ネット上で長年話題になっています。事実であれば波平は高給取りということになりますが、そもそもこの都市伝説はどこから浮上したのでしょうか。そこには意外な真相がありました。

「波平の年収1000万円」説、きっかけは?

波平が表紙の「サザエさん よりぬき波平さん」(朝日新聞出版)
波平が表紙の「サザエさん よりぬき波平さん」(朝日新聞出版)

 50年以上続く国民的アニメ『サザエさん』(原作:長谷川町子)には、その放送の歴史の長さからか数々の都市伝説が出回っています。なかには「波平の年収が1000万前後」というキャッチーな「お金の噂」も存在しており、真偽が気になるところです。年収1000万円となれば、かなりの高収入ですが、噂は本当なのでしょうか?

 結論から言うと、波平の年収の都市伝説はカツオのいたずらによって広まっていました。「年収1000万円前後」という噂が流れるきっかけになったのは、1977年2月20日に放送された『真っ白い家計簿』というお話です。これは、サザエが3日も経たずにつけるのをやめてしまった家計簿に、カツオがいたずらで数字を書きこむといった内容でした。

 カツオはその家計簿に、波平やマスオの月収を適当に書きこんでいきます。その金額はマスオの月収欄には「483,002」、そして波平の月収欄には「785,420」と、かなりの高額を書いてしまうのです。

 その後、カツオはその家計簿を公園のベンチに置き忘れてしまい、家計簿に書かれたでたらめな月収が近所の奥さんたちによって広まってしまいます。そして、磯野家にいろいろなセールスがやってくる……というお話です。

 このときにカツオが家計簿に書いた波平の月収「785,420」という画像がネット上で拡散されており、大まかな計算で「約78万円×12か月分+ボーナス=1000万円前後」という噂が広まったのでしょう。

 では実際のところ、波平の年収はどのくらいなのでしょうか。磯野家の大黒柱である波平のプロフィールは、「山川商事」という会社に務める54歳の設定です。長女のサザエはすでに成人し、結婚出産しているものの、長男のカツオと次女のワカメはまだ小学生とあって、波平はあと10年ほどは現役で働かなければならないでしょう。

 波平の仕事内容はというと、会社にパソコンはないものの、作中の描写からすると波平はデスクワークを中心としているようです。これだけでは波平の年収の詳細は分かりませんが、原作単行本31巻では、そのヒントとなる描写が存在していました。

 同巻で、波平は「月収税込七万円であります」と発言しています。この話が書かれた1958年(昭和33年)当時の国民の平均月収は1万6000円~2万7000円前後であり、当時の「税込七万円」の月給を現代の年収に換算すると、約1120万円になると推測できます。やはり、波平はかなりの高給取りであると言えるでしょう。

 こちらはあくまで原作の話なので、アニメ版『サザエさん』での波平のはっきりとした年収は不明です。波平の年収に関して、SNS上では「波平のデスクには電話線の繋がっていない電話しかないのに、高収入なのか」「昔ながらの年功序列の会社で54歳なら妥当では」「波平は実はハイスペックだったんだなぁ」などと、事実かどうかは置いていて、高収入の噂をネタに楽しむ声が多く挙がっていました。

(LUIS FIELD)

【画像】波平の「頭頂部の1本毛」なくなってね? 昭和30年代に実写化された『サザエさん』を見る(3枚)

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