『ガンダム』で語り継がれる「女性キャラの死」 戦争の無情を象徴する「あっけなさ」
初代『ガンダム』で忘れられない「ヒロインの死」といえば!?
初代『ガンダム』を象徴する「ヒロインの死」といえば、ララァ・スン抜きには語れません。
第34話「宿命の出会い」では、スペースコロニー・サイド6で、陣営の異なるララァとアムロが出会います。アムロは名前も知らない彼女に不思議な魅力を感じますが、第41話「光る宇宙」では敵としてララァがアムロの前に現れました。
モビルアーマー「エルメス」に搭乗するララァは、アムロが乗るガンダムに向けてビットによるオールレンジ攻撃を仕掛けます。アムロは予想外の方向から来る遠隔攻撃を見事に交わし、ガンダムのビーム・ライフルで次々とビットを撃ち落としていきました。
そのまま激しく交戦するなかで、お互いのニュータイプ能力が共鳴し、アムロとララァは思念によって会話を成立させます。
アムロは戦いをやめさせようと懸命に説得を試み、ララァがそれに応じかけたとき、ふたりの間に割って入ったのがシャアでした。
「ララァ! ヤツとの戯言はやめろ!」と、ふたりだけが共有する世界に対し、嫉妬にも似た感情をあらわにしたシャアは、ゲルググでガンダムに攻撃を仕掛けます。
しかし、ニュータイプ能力が覚醒したアムロが駆るマグネット・コーティングが施されたガンダムの前に、シャアは圧倒されてしまいます。
そしてガンダムのビーム・サーベルがシャアのゲルググを捉えようとした瞬間、ララァのエルメスがシャアを庇ってアムロの攻撃を受けて、戦死しました。
せっかく分かりあえたララァの命を自ら奪ってしまったことにアムロは大きなショックを受け、「取り返しのつかないことをしてしまった」と涙を零す場面に胸を打たれた視聴者は多いはずです。
そして、このララァの死は、アムロとシャアの心に長く刻まれることになります。
『機動戦士ガンダム』の戦場で散った女性たちの死は、戦争の理不尽さや生々しさを表現しているようにも思えます。そして、それぞれに切ない背景があったからこそ、視聴者に強烈なインパクトを与え続けているのかもしれません。
(LUIS FIELD)