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「2巻がちょうどいい」 有名漫画家の「作風違う」けど面白い初期の短期連載作

洗練された作品を手がけた有名漫画家であっても、初連載や初期のタイミングでは作風、絵のタッチがまったく違うのはよくあることです。今回は有名漫画家の3名に注目し、今と作風が違う初連載作を振り返ります。

新人時代からやはり光るものがあった?

『THE FIRST SLAM DUNK』ポスタービジュアル (C)I.T.PLANNING,INC. (C)2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners
『THE FIRST SLAM DUNK』ポスタービジュアル (C)I.T.PLANNING,INC. (C)2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners

 洗練された大ヒット作品を手がけた有名漫画家であっても、初連載や初期のタイミングでは作風、絵のタッチがまったく違うことがよくあります。今回は有名漫画家3人の短いけれども面白い初期作を振り返ります。

『SLAM DUNK』でバスケマンガの金字塔を打ち立てた井上雄彦先生の初連載作品は、『カメレオンジェイル』(原作:渡辺和彦)です。まだ井上雄彦名義になる前の本名名義「成合雄彦(なりあいたけひこ)」の時代に手がけた作品で、『SLAM DUNK』と比較すれば知名度は決して高くないでしょう。

 初連載を勝ち取った同作は、警察では処理できない案件に対処する危険請負人(リスクハンター)であるカメレオンジェイルが変身能力を駆使し、依頼を解決していくアクションマンガです。初連載作品は伸び悩んだようで連載期間も1989年33号~1989年44号と短く、単行本は全2巻しか刊行されていません。

 絵のタッチは新人時代なのもあってか、『SLAM DUNK』や『バガボンド』ほどの力強さはないものの、当時読んでいた読者のレビューでは「新人と考えたらめちゃくちゃ絵が上手い」「ストーリーもテンポが良くて悪くない」など好評の声が挙がっています。

 ちなみに『カメレオンジェイル』は新装版も発売されており、そこには井上先生のデビュー作である『楓パープル』も収録されていました。『SLAM DUNK』の主要キャラ・流川楓を主人公にした1作で、「SLAM DUNKの元になったマンガ」ということで注目を集めた作品でもあります。

「週刊少年ジャンプ」で『ヒカルの碁』(原作:ほったゆみ)や『DEATH NOTE』『バクマン。』(原作:大場つぐみ)といった名作の作画を担当した、小畑健先生の初期作『魔神冒険譚(アラビアン)ランプ・ランプ』(原作:泉藤進)は、短期で終わったものの惜しむ声も多い作品です。

 小畑先生は高校2年の時に佳作入賞した『CYBORGじいちゃんG』で、1989年に「ジャンプ」で初連載を始めます。当時は「土方茂」名義でしたが、1989年52号で連載を終えて、1991年に次作の『魔神冒険譚ランプ・ランプ』で「小畑健」名義としては初の連載を勝ち取りました。

 同作は人間と魔神が共存していた世界を舞台に、強大な支配者に抗う魔神ランプの活躍を描いた作品で、ジャンプならではの王道少年マンガでしたが、約1年の連載で終了、単行本全3巻の発売に留まりました。

 今とは作風が違うのはもちろん、ジャンルもバトルマンガです。高い画力はデビュー当時からお墨付きで、その「小畑絵」でバトルマンガを楽しめるという点を貴重に感じている読者も数多くいるようです。『バクマン。』の主人公・真城最高は作中で「王道じゃなきゃダメだ」と語っていますが、小畑先生は『魔神冒険譚ランプ・ランプ』での経験を反映していたのかもしれません。

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