カツオに中島以外の「メガネ大親友」が? 約半世紀前に2回だけ登場したキャラとは
アニメ『サザエさん』の磯野カツオには、中島くん以外にも親友がいたことをご存じでしょうか。50年以上前のエピソードに登場した「親友」とのあいだには、知られざる「感動エピソード」があったのです。
「さらば友よ」カツオのもうひとりの親友
TVアニメ『サザエさん』に登場する磯野カツオは、磯野家の長男でお調子者の小学5年生です。そんなカツオの「親友」といえば、しょっちゅう野球に誘いに来る中島くんの姿を思い浮かべる人も多いでしょう。イメージのとおり『サザエさん』の公式ページでも、カツオと中島くんは「大親友」と紹介されるほどの仲です。
そんなカツオには、実は中島くんのほかにも「親友」と呼べる存在がいました。それは50年以上前の放送で登場した「田中くん」という人物です。田中くんとは一体どんな人で、カツオとどのような友情を育んだのでしょうか。
田中くんはカツオのクラスメートで、青い学生服ににきびのある顔、メガネをかけているという大人しそうな少年です。同じクラスの中島くんや花沢さんからは、「勉強はできたけど運動神経は鈍かった」「ひ弱」などと評されていました。
そんな田中くんは1971年11月14日に放送された『さらば友よ』というエピソードで登場し、父親の仕事の都合で青森に引っ越すことが明らかになります。田中くんは、初登場にして、いきなりカツオと別れることになってしまうのです。
田中くんは別れに際して磯野家を訪れ、自分の引っ越しを涙ながらに告げています。カツオとはかなり仲が良かったようです。
田中くんがいなくなってしまうことを知ったカツオは、田中くんと「東京の大学に入学して再会しよう」と誓い合うのですが、そこでカツオのお調子者な一面が悪い方向に出てしまいます。
カツオは、田中くんに対し「君が受験に何年失敗しようと待つ」「結婚できなくても自分のガールフレンドをひとりあげる」などと、言ってしまうのです。その失言に当然怒った田中くんは、そのまま磯野家をあとにしてしまいました。
仲たがいしてしまったカツオと田中くんでしたが、田中くんが青森に引っ越してしまうその日、カツオは彼を見送るために上野駅へとやってきました。駅のホームで「ママが言ってたぜ 青森にもお前みたいなやつがいればいいって」という、田中くんの言葉にカツオは号泣します。ふたりは互いに別れを惜しみました。
そんな田中くんは、1971年11月14日放送の『友よふたたび』で、再びカツオの前に姿を現します。以前は「頼りない」などと言われていた田中くんでしたが、青森で柔道を習ったことでたくましくなって帰ってきました。
その見た目こそ変わらないものの、柔道の実力は確かなもので、カツオをいじめる中学生を一本背負いで投げ飛ばしてしまうほどです。
再会を喜ぶふたりでしたが、田中くんは父親のふたたびの転勤によって、今度は青森から広島へ引っ越すことになります。あまりにも短い「再会」の時間でしたが、別れを惜しみながら、かたく手を取り合うカツオと田中くんの姿が描かれていました。
普段はひょうきんでお調子者のカツオですが、田中くんとのあいだには熱い友情が交わされています。
公式サイトにも載っていない田中くんは知名度の低いキャラクターではありますが、彼とカツオとの友情物語はアニメ『サザエさん』のなかでも、かなり感動的なエピソードのひとつです。
(LUIS FIELD)