「アニメだけ恐怖回に?」「道具のリスクやば」 『ドラえもん』のトラウマ回3選
2023年12月1日に、故・藤子・F・不二雄先生が生誕90周年を迎えます。代表作であり、国民的アニメとなった『ドラえもん』には数多くの回がありますが、今回は改めて『ドラえもん』のトラウマ回に注目してみましょう。
グロテスクな宇宙人、自我を乗っ取る影、恐怖でしかないトラウマ回

『オバケのQ太郎』や『パーマン』『ドラえもん』など数々の名作を手がけた漫画家の故・藤子・F・不二雄先生が、2023年12月1日で生誕90周年を迎えます。
それを記念して2023年12月から約1年間に渡って小学館から出版物も刊行される予定で、12月1日に第1弾としてコミックスシリーズ9年ぶりの新刊『ドラえもんプラス』7巻と『ドラミちゃん』が同時発売されました。今回は90周年をきっかけに、代表作である『ドラえもん』のなかで、ホラー色が強かったり、のび太の失敗で取り返しのつかないことになりかけたりした「トラウマ回」をみてみましょう。
コミックス39巻の「風船がとどけた手紙」に登場したひみつ道具「長距離風船手紙コントローラー」を巡る話は、トラウマ回として有名です。この道具は手紙をつけた風船をラジコンのように操ることができるというシンプルな機能のアイテムで、作中ではのび太の文通相手を探すために使われました。ラストは円盤で飛行中の宇宙人に届いてしまい、のび太の家に宇宙人が尋ねてくるという展開で話が終わります。
問題なのは1986年9月に放送されたこの話のアニメ版で、宇宙人のビジュアルがよりグロテスクに描かれています。頭に大量に生えた短い触覚、外に飛び出たひとつ目、という見た目で、多くの子供たちにトラウマを植えつけました。
しかものび太が宇宙人だと知らずに玄関の扉を開けた瞬間、赤い光に包まれて、恐怖したのび太とドラえもんが抱きしめ合って終わるというラストシーンを迎えるのです。宇宙人ではなく、のび太とドラえもんの表情だけを映したアングルだったたけに、余計に恐怖感を演出しています。
「長距離風船手紙コントローラー」のように、のび太が調子に乗って痛い目に遭うという王道の話だけでなく、『ドラえもん』はひみつ道具自体が怖いホラー展開も珍しくありません。のび太が自身の影に自己が乗っ取られそうになった『かげきりばさみ』も、怖い話のひとつです。
コミックス1巻の「かげがり」に登場したひみつ道具で、アニメ版では「かげ切りバサミ」「かげきりばさみ」と道具の表記が変わって放送されたこともありました。このハサミは影を切り取れて、切り取った後にその影が本人の代わりに働いてくれます。しかし影を切り取ってから30分以上経つと影に自我が芽生え始めて徐々に言うことを聞かなくなり、2時間経過すると、影と本人が入れ替わってしまうのです。
案の定、のび太は時間を気にせず影に働かせ、意志を持ち始めた影はのび太に戻ることを拒否しました。このままいくと今いるのび太が影となって、影だったのび太が本人に変わってしまうという恐怖展開になります。
絶体絶命のなかでドラえもんが機転を利かせて、のび太の母に「かげきりばさみ」を使い、「影母」に影ののび太を捕まえてもらって事なきを得ました。確かに「かげきりばさみ」は便利な道具ですが、30分だけ気兼ねなくお手伝いをしてもらえるだけと考えれば、「2時間経過してしまえば影と入れ替わられる」というリスクは大きすぎるように感じます。