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【こんや、12じ、だれかがしぬ】恐怖に魅せられた『かまいたちの夜』の思い出

プレイヤーの選択で変化するシナリオが、緊張感を高める

『かまいたちの夜 輪廻彩声』PC版 (C)Spike Chunsoft / 我孫子武丸 / Estuarium / MAGES.
『かまいたちの夜 輪廻彩声』PC版 (C)Spike Chunsoft / 我孫子武丸 / Estuarium / MAGES.

 主人公の大学生・透は最初こそ恋人の真理とスキー旅行を楽しんでいますが、宿泊先のペンション内で発見された1通の手紙がキッカケとなり、状況は一変。先ほどまで談笑ムードに包まれていたペンションは次第に陰鬱とした空気に飲み込まれていき、ついには殺人事件に発展します。

 電話は通じず、外は吹雪のために逃げることも不可能。ミステリー作品でよく見られる「クローズド・サークル」の手法を取り入れたシナリオは突拍子もない部分もありますが、閉じ込められた空間でいつ殺されるか分からない焦燥感や緊迫感を演出するのに機能していたと思います。

 そして特筆すべきは、ゲーム中の選択に応じて大胆に変化する数々のシナリオ。ペンションには“じっちゃんの名にかける高校生探偵”や、”頭脳は大人な小学生探偵”などいません。そこでプレイヤー自ら犯人を推理するわけですが、判断を誤れば事件の真相にたどり着けないだけでなく、恋人であるはずの真理に襲われるという最悪の結末も起こります。今でこそ「ルート分岐」でエンディングの異なるゲーム作品は一般的ですが、1994年の時点でこのシステムを採用していたのは画期的だったのではないでしょうか。

 ひとつひとつの選択肢をよく吟味し、犯人の動機や用いたトリックに思考を巡らせ能動的にプレイする。その状態で下した決断がシナリオの展開に反映され、内容がダイナミックに移り変わる。『かまいたちの夜』はあくまでテキスト主体のゲーム性ですが、音楽や効果音との親和性も高く、サウンドノベルのサの字も知らないような小学生でも存分に恐怖を味わうことができました。

 おそらくこの先プレイし直すことがあっても、きっと“深夜12時アレルギー”を発症しながら楽しく推理に励むことでしょう。

(龍田優貴)

【画像】一瞬の判断が命取りに!緊迫のサウンドノベル『かまいたちの夜』シリーズ(6枚)

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