「新年おめでとう。今年こそ殺す」…なんとも牧歌的な「昭和ライダー」の珍事件3選
いわゆる「昭和ライダー」シリーズの敵組織やその怪人には、露骨な残虐行為が見られる一方で、のん気としか言いようのない牧歌的な行動も見られます。いまに語り継がれる珍事件をピックアップしました。
自分が吐いた毒ガスで死亡…!? 昭和ライダーまさかの珍事件

「仮面ライダー」シリーズは、ヒーローだけでなく、その個性的な「怪人」たちも魅力のひとつといえるでしょう。
いわゆる「昭和ライダー」シリーズに登場する怪人たちは、人間をドロドロに溶かして泡状に消してしまったり、白骨化させたりする残忍な行動が目立ちます。その一方で、物語の都合もあってか、ツッコミどころ満載な間抜けな行動も見られました。そうしたなかから、3つの珍事件を見ていきましょう。
●自爆(『仮面ライダー』第16話 ピラザウルス)
間抜けな死に方をした怪人として名前を挙げられるのが、『仮面ライダー』第16話「悪魔のレスラー ピラザウルス」に登場した、試作型の「ピラザウルス」です。
冒頭で登場した試作型のピラザウルスは、運転手になりすましてバスをジャックし、乗客を自身が放つ毒ガス「死の霧」で皆殺しにする残忍さを見せます。
そこまでは怪人らしい行動なのですが、毒ガス対策をして様子をうかがっていたショッカー幹部のマヤが「実験は成功よ」と駆け寄るも、ピラザウルスは返事をしません。そのまま倒れ伏すピラザウルスを目の当たりにし、マヤは「死んでいる。体に埋め込んだ死の霧の発生装置に、肉体が耐えきれなかったんだわ……」と実験の失敗を噛み締めました。
その後、強靭な人間(プロレスラー)を使って生まれ変わった完成型のピラザウルスが、仮面ライダー2号を相手に一度は勝利して汚名を返上しています。
●新年のご挨拶(『仮面ライダーV3』第47話 ヨロイ元帥)
『仮面ライダーV3』第47話「待ち伏せ! デストロン首領!!」で、悪の組織「デストロン」の幹部「ヨロイ元帥」が、「ライダーマン」こと「結城丈二」を呼び出した方法も、敵組織の珍行動として知られています。
なんと「新年おめでとう。今年こそ裏切り者は殺す。デストロンを代表して」と、美文字でしたためられた年賀状を結城に宛てて送ったのです。しかも年賀状にはご丁寧に、横浜市中区山下町にあるというアジトの住所も添えられていました。その住所を訪れたライダーマンは、彼を待ち伏せしていたヨロイ元帥にまんまと捕まります。
しかし、ヨロイ元帥はV3と同士討ちさせるために、せっかく捕まえたライダーマンを無傷で解放しました。その際の、丁寧に作戦の狙いを説明した会話はV3に聞かれており、せっかくの作戦がバレてしまうオチまで含めて、ウッカリが過ぎるエピソードです。
この何とも間抜けなデストロンの年賀状作戦には、時を経て改めてスポットが当たることになります。それは映画『シン・仮面ライダー』公開直前の、2023年初頭のことでした。
映画の告知もかねて、アプリにて『シン・仮面ライダー』の敵組織である「SHOCKER」から年賀状が公開されたのです。ヨロイ元帥の珍作戦を知るファンからは「あの伝説のネタをパロディ化するとは」「SHOCKERもいいところに基地ありそう」といった声が挙がっていました。