『ガンダム』劇場版で省略された14話「時間よ、とまれ」 富野監督自ら書いた「真理」とは
『機動戦士ガンダム』第14話「時間よ、とまれ」は、最前線のジオン兵士がほぼ生身でガンダムを倒そうとする衝撃的な展開が描かれます。富野喜幸(現:由悠季)監督自身が脚本を手掛けた唯一の回であり、ガンダムに仕掛けられた爆弾を外そうとするアムロをジオン兵がいつの間にか応援し始めるなど、兵士もただの人間であることが強調された回となりました。
退屈しているジオン軍の兵士たち

『機動戦士ガンダム』第14話「時間よ、とまれ」は、富野喜幸(現:由悠季)監督自身が脚本を手掛けた唯一の回であり、最前線のジオン兵士がほぼ生身でガンダムを倒そうとする衝撃的な展開が描かれます。なお、絵コンテの斧谷稔は富野監督のペンネームであり、純度の高い富野監督回と言えるでしょう。
劇場化の際にはマチルダ隊による補給シーンのみが反映され、本編はカットされていますがガンダムに仕掛けられた爆弾を外そうとするアムロをジオン兵がいつの間にか応援し始めるなど、兵士もただの人間であることが強調された回として、印象深いエピソードとなっています。
エピソードの冒頭では、最前線に張り付いているジオン軍兵士たちを、マジシャンが慰問するシーンから始まります。つまらないマジックに兵士たちは罵声を浴びせていますが、実はこのシーンで登場したマジシャンは『無敵鋼人ダイターン3』第27話「遠い日の、エース」に登場したコマンダー・エドウィンにそっくりなのです。
よくよく見ればジオン兵たちのなかにはダイターン3の主人公である波嵐万丈や執事のギャリソン時田に見えるキャラクターが混じっています。他作品のキャラクターやロボットをこっそり登場させる、当時はよく見られたクリエイターによるお遊びなのでしょう。
続くシーンで丁寧に描写されるのが、最前線の兵士たちが置かれた状況です。部隊に1機しかないザクを磨くくらいしかやることがなく、コロニーにはいない虫にも悩まされる日々。慣れない環境に鬱屈したその姿からは、士気の低下が見て取れます。
慣れない土地での慣れない生活、いつ終わるのかもわからない戦い。このような状況に置かれた兵士たちが故郷に帰りたがるのも無理はありません。
そんな状況で地球連邦軍の新型モビルスーツが近くにいることを知ってしまえば、興味が湧くのは当然です。そしてジオンの若い兵たちは、モビルスーツを倒せば褒美としてジオン本国へ帰してもらえるのではないかと考え、攻撃を仕掛けようと考えたのです。