長編アニメ『幸福路のチー』のソン監督、制作基盤のない台湾で「独自のアニメ」を創造
祖母への「後悔」や友達との「思い出」も込められた映像

映画では、チーとチーを溺愛する祖母との触れ合いや、米兵を父に持つ同級生ベティとの友情がとてもハートフルに描かれています。しかし、ソン監督によると実際は生前の祖母とはあまり仲良くすることができず、ベティのモデルとなった金髪の女の子は、転校後に音信不通となり、再会することはできなかったそうです。
祖母が元気だった頃にもっと仲良くしておけばよかったというソン監督の後悔や、会えなくなってしまった幼友達との忘れがたい思い出が、映画には込められているようです。
ソン監督が京都に留学した体験をエッセイにした『いつもひとりだった、京都での日々』(早川書房)も日本で出版されたばかりです。京都でお世話になった下宿先の大家さん、アルバイトしていたカラオケボックスの店長や常連さんたちとの適度な距離感を持った関係性が描かれています。京都の街並を背景にした出会いと別れが、さらりとした文章スタイルで綴られており、『幸福路のチー』と同様に親しみを感じさせつつも、日本人とは微妙に異なる視点が新鮮に感じられます。
(長野辰次)
※『幸福路のチー』日本版 ダイジェスト
●映画『幸福路のチー』
2019年11月29日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、京都シネマほか全国順次公開。
監督・脚本/ソン・シンイン 主題歌/ジョリン・ツァイ
声の出演/グイ・ルンメイ、ウェイ・ダーションほか
配給/クレストインターナショナル
http://onhappinessroad.net
●ソン・シンイン
1974年台北生まれ。京都大学で映画理論を学んだ後、コロンビア・カレッジ・シカゴで映画修士号を取得。短編実写映画を経験後、2013年に短編アニメーション『幸福路上』を発表し、台北電影奨最優秀アニメーション賞を受賞。この短編をベースに4年の歳月を掛けて、『幸福路のチー』を完成させた。金馬奨最優秀アニメーション映画賞、東京アニメアワードフェスティバル長編コンペティション部門グランプリなど世界各地で映画賞に輝いている。
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