大女優・八千草薫さんをめぐる伝説。実はアニメや特撮映画にも影響?
TVドラマ史に残る名作ドラマ『俺たちの旅』(日本テレビ系)や『岸辺のアルバム』(TBS系)で美しい母親を演じ、近年も『おかしの家』(TBS系)など数々の作品に出演した女優・八千草薫さん。その美しさは多くのクリエイターの心をとらえ、マンガやアニメーション、特撮映画にも大きな影響を与えています。そんな「八千草薫伝説」を振り返ります。
『銀河鉄道999』メーテルのモデル説

名女優として長年にわたって活躍された八千草薫さんが、2019年10月24日に亡くなられました。享年88歳。品の良く、優しい母親役を数々のホームドラマで演じ、年齢を重ねても可愛らしさを失わない魅力的な容姿と性格で、大変な人気がありました。
TVドラマだけでなく、多くの映画や舞台にも出演した八千草さんは、実はアニメーションや特撮映画にも大きな影響を与えていました。「良妻賢母」のイメージで語られることの多かった八千草さんの、意外性のある伝説を紹介したいと思います。
1931年大阪府生まれ、兵庫県育ちの八千草さんは、戦後間もない1947年に宝塚歌劇団に入団し、アイドル的な人気を博しました。清楚な美少女ぶりは宝塚ファンだけでなく、男性たちも夢中にさせました。漫画家・松本零士さんもそのひとりだったそうです。
少年時代の松本零士さんは、八千草さんのプロマイド写真に手を加えて、理想の女性像にしたものを学生証と一緒に胸ポケットに忍ばせていたと語っています。
松本零士作品といえば、『宇宙戦艦ヤマト』のスターシャや『銀河鉄道999』のメーテルといったミステリアスな美女がとても印象的に描かれています。松本作品のヒロインのモデルには、フランス・ドイツ合作映画『我が青春のマリアンヌ』(1957年)の主演女優マリアンヌ・ホルトや江戸時代の日本に西洋医学を伝えたシーボルトの孫娘・高子など、いくつかの説が語られていますが、若かりし頃の八千草さんのイメージも、少なからず松本作品に影響を与えていたようです。