宇宙艦隊どこへ? 『Zガンダム』連邦軍はなぜ一年戦争時より圧倒的に小規模なのか
アニメ『機動戦士Zガンダム』や続編の『機動戦士ガンダムZZ』では、地球連邦軍宇宙艦隊の影がとにかく希薄です。一年戦争中には何百隻もの艦艇が進撃していたはずなのですが、あの巨大戦力はどこにいってしまったのでしょうか。
一年戦争の戦訓を反映すると……
アニメ『機動戦士ガンダム』において、地球連邦軍は敵対するジオン公国軍を遥かに上回る戦力を持ち、物量でジオンを圧倒するさまが描かれます。
例えば「一年戦争」序盤のルウム戦役に投入された地球連邦艦隊は、3個艦隊で120隻のようです。宇宙要塞ソロモン攻略戦は10個艦隊が投入されていますから、1個艦隊の数が同じなら400隻になります。
ア・バオア・クー攻略戦では、戦艦18隻、巡洋艦98隻、輸送艦84隻という資料があります。これはジオン公国軍の超大型兵器「ソーラ・レイ」で撃破された後の数字です。作戦開始時の推定値では戦艦25隻、巡洋艦150隻、輸送艦120隻の合計295隻という資料もあります(「ホワイトベース」などの強襲揚陸艦が、上述したところの戦艦なのか巡洋艦なのかは不明です)。
これほどの大戦力を有していた地球連邦軍宇宙艦隊ですが、続編『機動戦士Zガンダム』や、その続編『機動戦士ガンダムZZ』では、存在感がほとんどありません。
連邦系勢力同士の内乱が主筋の『Z』では、エゥーゴ側は巡洋艦「アーガマ」と戦艦「ラーディッシュ」、敵対するティターンズは重巡洋艦「アレキサンドリア」や戦艦「ドゴス・ギア」、超大型輸送艦「ジュピトリス」が画面に映る大半の戦力で、数百隻もあったはずの艦隊は見えません。
同じ時代を描く小説『ガンダムセンチネル』では、地球連邦から反逆した「ニューディサイズ」の戦力が戦艦4、巡洋艦7、輸送船14(エイノー艦隊含む)、対する討伐側は戦艦2、巡洋艦17、輸送艦4ですから、両者を合計しても48隻に過ぎません。
地球連邦軍宇宙艦隊の巨大戦力は、一体どこに行ってしまったのでしょうか。ひとつ考えるべき材料は、一年戦争(『ガンダム』)とグリプス戦役(『Z』)の間を舞台とするアニメ『機動戦士ガンダム0083』にて、観艦式をしていた地球連邦軍が「ガンダム試作2号機」による核攻撃を受けて、壊滅したことです。
ここでの地球連邦軍の被害は甚大だったとは思われますが、それでも大型兵器「ソーラ・システムII」を護衛する連邦軍艦隊は、敵対するジオン公国軍の残党勢力「デラーズ・フリート」(開戦時で戦艦1、巡洋艦15、輸送艦20程度)を圧倒する戦力を有していました。
デラーズ・フリートは壊滅し、連邦艦隊の大半は生き残りましたから、その時点でも100隻以上存在してもおかしくはありません。「アルビオン」や「バーミンガム」のように、新型艦艇の建造も進められていましたから、『Z』までの4年間である程度、受けた被害が回復しても不思議はないでしょう。
しかし、劇中描写を見る限り、『Z』以降の連邦軍(エゥーゴやティターンズ、ニューディサイズなどを含む)が100隻単位の戦力を動員しているとは思えません。小説『ADVANCE OF Z』シリーズや、まだ描かれていない戦線に投入されているにしても、少ないように思います。