【漫画】性加害事件 選ばれた裁判員は男性だけ…「違和感」「ホントに公正?」
裁判員の候補者に選ばれた漫画家のなかもとさん。後日、裁判所に出向き、女性が性被害に遭った事件に関する裁判員抽選会に参加しました。抽選会の終了後、裁判員に選ばれた人たちの顔ぶれをみたなかもとさんは、ある共通点に気付き……。作者のなかもとゆうりさんにお話を聞きました。
選ばれた裁判員に疑問

裁判員候補者に選ばれた漫画家のなかもとさん。後日送られてきた呼出状に従って裁判所に出向きます。担当官の説明によると、これから女性が性被害に遭った事件に関する裁判員を抽選するようです。裁判員の候補者には、老若男女を問わず20人ほどの一般市民が集められていました。
最終的な裁判員は、理由のない不選任のほかに、裁判官らと個別に質疑応答を経て「辞退者」や「事件被害者・被告らと私的に関係があり、事件を公正に判断出来ない人」、そして「自身や身の回りの人が類似の事件の経験があり公正な判断が難しい人」などが除かれたうえで、コンピュータによるランダムな抽選によって選出されます。
今回の抽選では、裁判員に選出されなかったなかもとさんですが、最終的に選ばれた人員の顔ぶれをみて、ある共通点を発見してしまい……。
なかもとゆうりさん(@yr_nkmt2080)によるエッセイマンガ『裁判員候補者になった話』がTwitter(現:X)上で公開されました。いいね数は4.3万を超えており、読者からは「これはモヤモヤするね。久々に傍聴行ってみようかな」「女性が誰も選ばれないのは違和感しかない」「こういう裁判こそ男女比大事なんじゃないの?」などの声があがっています。
作者のなかもとゆうりさんは、漫画家として活動しており、現在白泉社の電子コミック誌「黒蜜」にて『ビターダイヤモンド』を連載中です。今作の後日談もTwitter(現:X)上にアップしされています。
作者のなかもとゆうりさんにお話を聞きました。
ーー今作『裁判員候補者になった話』が生まれたきっかけや、理由を教えてください。
裁判員の抽選のあと、その体験を家族や友人と話をしていました。すると男女問わず「なんか変じゃない?」という反応で、特に新聞記者をやっている友人さえ「それは知らなかった」と言っていたのに驚きました。
しかし、それでも自分のもやもやとした感情を消化しきれず、マンガにしたら肩の荷がおりるのではないかと思った次第です。
本当は発表するつもりはなかったのですが、マンガを読んでくれた家族や友人が「面白いから載せなよ」と言ってくれたお陰でSNSに発表することができました。
ーーたくさんの感想が寄せられています。特にうれしかった感想の声、印象に残った読者の声について、教えて下さい。
今の制度への批判ではなく「どうしたらいいんだろう?」と前向きに考える人が印象に残っています。
先行研究や過去の事例など、時間が経つにつれていろいろな情報が集まってきて、今回の体験をさまざまな角度から考え直すことができました。
また、今までマンガは完成原稿しか発表したことがなかったのですが今回のような物でもいろいろな人に伝わって、マンガとして楽しんでもらえたことにいい意味でカルチャーショックを受けています。

ーー今作を描くうえでこだわったポイントや、お気に入りのシーンなどはありますか?
残った裁判員を振り返るシーンです。自分が体験した出来事の臨場感を、感じたままに残せて満足しています。
ーーなかもとゆうりさんがマンガを描き始めたきっかけを教えて下さい。
小学2年生の時に、友達とノートで1ページずつ描いていく「交換マンガ」を描いたのが一番古い思い出です。
ーー今後、Twitter(現:X)で発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか?
もともとTwitter(現:X)は仕事の情報発信がメインで、自分のマンガを発表することはまったく考えていませんでした。しかし、今回の投稿でフォローしてくださった方をがっかりさせたくないので、今後は「飲み会で話したらみんな面白がってくれるかな?」というような体験をゆっくり発信していこうかなと思っています。
(マグミクス編集部)