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【連載再開】オトナ女子が『GALS!』を読むべき理由。「今を大事に生きようぜ!」

ギャルを「腫れ物」から「憧れの存在」に

『GALS!』の登場人物たちは当時の時代背景を色濃く反映していました。蘭がいつも行動を共にしている親友の山咲美由は、親のネグレクトのもとで育った、元不良少女。星野綾は、親の期待を背負い、優等生である自分しか認められなかった女の子。美由は心の傷を癒すことで、綾は自分の意思で物事を決められるようになることで、成長を遂げていきます。

 当時「ギャル」とは、道徳観念の欠落や、社会現象にもなっていた援助交際と結び付けられ、一部に良くないイメージも持たれていました。が、単行本1巻にもあるように、藤井先生は「マスコミが取り上げるような子ばかりではなく、コギャルもさまざま、中にはけっこーおもろい熱血系もいるかもしんないじゃん!」と、ギャルのポジティブなイメージを主人公の蘭に投影。自分たちと同じような悩みを美由や綾のようなキャラクターが受け持ってくれ、読者を刺激し続けてくれました。

 そして『GALS!』は、当時の一般的なギャルへのイメージを、「こんなかっこいいギャルに私もなりたい!」と、りぼんっ子たちの憧れの存在へと昇華させたのです。

自己肯定感の塊、寿蘭のガッツは生きるパワーだ!

 誰よりも本気で遊び、誰よりも我が道を突き進む、「今」を生きる蘭。自己肯定感の塊のような蘭が発する直球な言葉たちは、いつの時代も胸に突き刺さります。

 第1話から「フザけんなよ。コギャルがみんなウリやってると思ったら大間違いなんだよ!」と当時の若者を代弁するかのように叫ぶ蘭。親からの期待に応えている自分の気持ちなんて蘭にはわからないと言う綾に対して、「わかるわけねーじゃん あたしの人生 親の所有物じゃねーもん おめーと違ってな」と、ニヤリと返す。自分を守るためにナイフをかざす後輩に対しては、「自分の心 必死で守んのは 自分を愛してるって証拠じゃんかよ」と優しく諭す。

 蘭の3原則は「今を楽しむ! 言いたいこと言う! 腹から笑う!」。熱い気持ちが私たちのなかに蘇ります。

 11月5日から配信が始まり、現在8エピソードまで配信されている続編『GALS‼︎』。当時の渋谷の様子がありありと描かれ、細かいところまで凝った、お洒落で可愛い登場人物たちのファッションも健在です。またそれぞれのカップルたちが様々な展開を見せ、推しカップル熱が再燃します。

『GALS‼︎』を配信しているアプリ「マンガMee」にはコメント機能も付いていて、読んで火照った気持ちを他の読者と共有できる点も現代ならでは。

「前も後ろもどーでもいーから『今』を大事に生きようぜ‼︎」

 いま一度、蘭の格好良さに巻き込まれて、シンプルでパワフルな人生を!

(別冊なかむらりょうこ)

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