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ターゲットはお子様にあらず? 『仮面ライダーX』従来作ほど人気が出なかったワケ

シリーズ3作目『仮面ライダーX』は、従来作を踏襲しない新機軸をいくつも打ち出してスタートしましたが、視聴率は振るいませんでした。その理由について、語られてきた言説やプロデューサーの発言などを振り返っていきます。

シリーズ第3弾はなにがどうしてそうなったのか

東映ビデオ『仮面ライダーX Blu-ray BOX 1』 (C)石森プロ・東映
東映ビデオ『仮面ライダーX Blu-ray BOX 1』 (C)石森プロ・東映

 1974年にNET系列で放映された『仮面ライダーX』は、前作『仮面ライダーV3』に続くシリーズ第3弾です。『V3』との差別化を図るため、『仮面ライダーX』では対象年齢を上げて、変身システムの変更やギリシャ神話の神々をモチーフにした怪人など、様々な新機軸が打ち出されました。

 しかし、結果的に子供たちには受け入れられず、途中で大幅なてこ入れがおこなわれることになります。『仮面ライダーX』はそれまでの作品よりも、なぜ人気が出なかったのでしょうか。

●不振の理由その1 変身および戦闘の所作

 その理由のひとつとして挙げられるのが、「変身と戦闘の所作」です。

 Xライダーの場合、変身は「レッドアイザー」と「パーフェクター」というふたつの道具を用いて「セタップ(set up)」という動作をおこないます。そのため変身がまどろっこしくて時間がかかりすぎてしまい、ここぞというドラマがいちばん盛り上がったところで流れが中断するという結果になってしまいました。

 俳優の格好良さも見せられず、なにより真似できない変身シーンになってしまったことが、子供たちに受け入れられなかった理由なのかもしれません。

 また同作では、ライダーシリーズではじめて武器が使用されました。ベルトのバックル部分である「ライドル」には、右側にグリップが備え付けられており、これを引き抜くことで「ライドルスティック」「ライドルホイップ(ウィップ=鞭)」などの武器に変化するのです。

 しかしながら、全身改造人間のライダーが武器を持つのは、子供たちに違和感を残しました。いくら相手が悪の戦闘員や怪人だとしても、丸腰相手に武器で戦う姿からは卑怯な印象を受けてしまったようです。見ようによってはいじめに見えかねません。さらに先輩ライダーが素手だけで戦ってきただけに、武器がないと戦えないXライダーが弱く見えてしまったようです。

 東映のプロデューサーである平山亨さんは、著書『泣き虫プロデューサーの遺言状~TVヒーローと歩んだ50年~』(講談社)で「『X』に棒や鞭に変化するライドルを持たせたけど、仮面ライダーは武器を使わないイメージがある中で逆にハンデになったのかもしれない。歴代シリーズの中で『X』の視聴率が良くなかったのもライドルを刀みたいに振り回すところがマイナスに働いたんだろう」と述べています。

【画像】こちらが視聴率不振ながらも歴代「悪の幹部」のなかで屈指の人気を博した「アポロガイスト」です(4枚)

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