マグミクス | manga * anime * game

『機動戦士ガンダム』アムロの父「テム・レイ」はなぜ地球連邦軍に復帰しないのか

「ガンダム」の開発者「テム・レイ大尉」は、宇宙に放り出され行方不明となります。中立コロニーであるサイド6でアムロに発見されたとき、テムはジャンク屋にいました。なぜテムは連邦軍に復帰しなかったのでしょうか。

実はサイド6にも縁がある設定

『機動戦士ガンダム アムロ・レイぴあ』表紙(ぴあ)
『機動戦士ガンダム アムロ・レイぴあ』表紙(ぴあ)

 モビルスーツ。アニメ『機動戦士ガンダム』の主役ともいえる汎用人型兵器であり、地球連邦軍の反撃計画「V作戦」の特に「ガンダム」は、「テム・レイ」が開発したとされています。

 テムは主人公アムロの父親で、地球連邦軍大尉でもあります(パラレルワールドである『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、アナハイム・エレクトロニクスのMS開発部長として登場)。そして「サイド7」に対する、ジオン軍少佐シャアの攻撃により、テムは宇宙服を着ていたとはいえ、その身ひとつで宇宙に放り出されてしまいました。

 シャアの攻撃が宇宙世紀0079年9月18日です。このとき行方不明となったテムが、中立コロニーの「サイド6」でアムロに発見されたのは、0079年12月4日のことでした。

 発見されたテムは、ジャンク屋に住み込みしていたようです。酸素欠乏症になっているようですが、アムロを息子だと認識し、「ガンダム」の活躍を喜んでいますし、「地球連邦万歳」と大騒ぎするなど、自分がどこの何者であるかははっきりと認知しています。

 不思議なのは、大尉という高い地位にあり、地球連邦への愛国心も強いテムが、なぜ地球連邦軍に復帰しなかったのか、ということです。

 テムは「V作戦の中心人物」です。ガンダムをはじめとする地球連邦の最高軍事機密に深く関わっており、「軍から抜ける」ことなど認められるでしょうか。もし、ジオン軍にでも誘拐され、情報をもらしたら、連邦としては多大な軍事的損失をこうむるかもしれない人物です。そのような重要人物が、監視もないただのジャンク屋まがいになっているのだとしたら、不自然に感じます。

 仮にテムが酸素欠乏症で、開発能力が低下していることを認められ、勤務不能と判定されたとしても、アムロがそうされたように「監視付きで隔離」されると思います。

 そもそも、サイド7がある「ルナツー」の裏と、サイド6は、地球と月よりも離れています。宇宙服を着ていたとはいえ「生きたまま、偶然流れ着く」距離ではありません。誰かに救助された上で、宇宙船で運ばれ、紆余曲折あってサイド6で生活していることになるはずです。なぜサイド6なのでしょうか。

 息子であるアムロの出生地は、諸説ありますが「地球のどこか」です。テムは、0068年にアムロと宇宙へ上がり、各サイドを転々としたようです。元スペースコロニー建築技師であるテムは、サイド6にも土地勘や人脈があるのでしょう。ですから、テムがサイド6に居続けること自体は、それほど不思議ではありません。

 ここで「時期」の問題が出てきます。テムが遭難した9月から発見された12月まで、地球連邦軍の宇宙拠点はルナツーとサイド7だけです。テムが連邦軍復帰のためにサイド7やルナツーに戻ろうとしても、中立コロニーであるサイド6から、連邦軍基地であるルナツーへの宇宙航路は、民間ルートでは存在しないでしょう。地球に向かうルートも戦争中ですから、様々な渡航制限があり、利用が難しかった可能性もあります。

 ただ、アニメ『機動戦士ガンダム0080』では、サイド6の地球連邦軍基地が描かれています。小学生のアルが基地に近づいて「連邦軍は出ていけ~」と連邦軍兵士に言えるくらいで、その存在は半ば公然のものです。

 サイド7に戻らずとも、サイド6の連邦軍基地に行き「私はサイド7で事故にあったテム・レイ大尉だ」と名乗ればいいようにも思えます。連邦を愛するテムが、そうしない理由がありません。土地勘もあるわけですし。

 仮に事故時にIDカードなどを喪失していたとしても、そもそも、ガンダム系の新型機「アレックス」を極秘開発している現場でもあり、地球連邦軍のモビルスーツ開発は始まったばかりなのですから、テムを知っている人も多くいたのではないでしょうか。

【画像】「サイド6ってどこ?」ラグランジュ点で見る地球、月、スペースコロニー群の位置関係

画像ギャラリー

1 2