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【漫画】愛犬が死んだ 離婚寸前の夫婦をつないだ13年越しの贈りものに「感動」

13年間一緒に暮らした愛犬が死んでしまい悲しみに暮れる夫婦。かろうじて愛犬によってつながっていた夫婦は結婚生活に終止符を打つことを決断します。新生活に向けて離婚の手続きを進めていると妻がソファーカバーの隙間からあるものを見つけて……。作者の藤原ハルさんにお話を聞きました。

愛犬を亡くした夫婦の決断とは

亡くなった愛犬と最期の散歩へ向かう夫婦(藤原ハルさん提供)
亡くなった愛犬と最期の散歩へ向かう夫婦(藤原ハルさん提供)

 13年間ともに暮らした愛犬のたまが亡くなり、悲しみに暮れる夫婦。愛犬であるたまの亡骸とともによく散歩にいった公園へ出向きます。満開の桜を見ながら妻がぽつり「別れよう」と呟きました。ふたりの間に子供はできず、たまだけが夫婦をつなぎ止めていたのです。後日、新生活に向けて離婚の手続きを進めていると、妻がソファーカバーの隙間からあるものを見つけて……。

 藤原ハルさん(@HALfujiwara)による創作マンガ『犬を送る』がTwitter(現:X)上で公開されました。今作は「ヤングマガジン」(講談社)で、ちばてつや賞ヤング部門第89回優秀新人賞を受賞しています。いいね数は7.3万を超えており、読者からは「亡くなった愛犬を思い出しました」「最後、たまがふたりをつなぎ止めてくれたのかな」「ペットって本当に家族の支えになるんですよね。感動です」などの声があがっています。

 作者の藤原ハルさんにお話を聞きました。

ーー今作『犬を送る』が生まれたきっかけや、理由を教えてください。

 自分の人生で一番感情が動いたことを描こうと思ったのがきっかけです。数年前に飼い犬であるたまを見送ったこと。亡骸を抱っこして公園まで散歩したこと。いつもと同じ散歩コースなのにたまはもう動かなくて冷たくて、家に帰らずこのままずっと抱っこして歩いていたいなと思ったのを覚えています。

 散歩やたまという名前のくだりは実体験をベースにして、夫婦の設定やエピソードなどは創作で描きました。

ーー犬との別れは犬を飼う人がだれしも通る道ですが、今作では夫婦の絆が再生するきっかけになりました。今作を描くうえでこだわったポイントや伝えたかった想い、お気に入りのシーンなどはありますか?

 言葉や説明を少なくして、情景を描くことにこだわりました。きれいな青空でも悲しく見えるときってありますよね。読む人がいろんな感情を投影できるのがマンガの良さだと思うので。後半の過去、現在の桜を見上げる夫婦の見開きはもう二度と描けないくらい魂を込めました。

妻がソファーカバーの隙間からあるものを見つけて?(藤原ハルさん提供)
妻がソファーカバーの隙間からあるものを見つけて?(藤原ハルさん提供)

ーー今作は「ヤングマガジン」(講談社)で、ちばてつや賞ヤング部門第89回優秀新人賞を受賞されました。おめでとうございます。応募のきっかけや、受賞したときの気持ちを教えてください。

 ありがとうございます! 『犬を送る』を描く前にヤングマガジンの月間新人賞で佳作をいただきまして、付いてくださった担当さんにちばてつや賞へ応募をすすめられたのがきっかけでした。

 小学生の頃に父親が持っていた『のたり松太郎』(漫画家のちばてつや先生による日本の相撲マンガ作品)を愛読していたので、ちばてつや先生に実際に読んでもらえるなんて二度とない機会だと思い応募を決めました。いきなり決めたので作画できる時間が2週間しかなくて大変でしたね。

 ちば先生に読んでいただけるだけですごいと思っていたので、受賞のご連絡をいただいたときは信じられなくて今でも夢みたいな気持ちです。

ーー感動のコメントが多く寄せられています。特に考えさせられた読者の意見やうれしかった声などがありましたら教えてください。

 この半年間は通っているマンガ教室の中で数十人に読んでもらう感じで作品を描いていたので、いきなりたくさんの人に読んでもらえていることにとても驚いています。ご感想にはご自身の思い出や状況を重ねて語ってくださるものが多く、読んだ方の人生に触れさせてもらえたようでした。

 うれしかったのは、見送ったペットを思い出した、今いるペットを抱きしめたというご感想ですね。あと「たまがかわいい」って言ってもらえたのもうれしいです! たまは柴犬らしいクールな性格だったのでこんなにたくさんの方に見ていただけて戸惑ってそうですが。

ーー藤原ハルさんがマンガを描き始めたきっかけを教えて下さい。

 実家がガソリンスタンドをやっていてお客さん用にマンガ雑誌がたくさんあったんですね。本は買ってもらえないけどマンガなら山ほど読めたので、たくさん読んでいるうちに自分でも描きたいと思うようになりました。

ーー今後、Twitter(現:X)やWebメディアで発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか?

 マンガ連載を目指して企画やネームを準備しています。それとは別に、「犬を送る」では描けなかった老犬介護や火葬、今飼っている保護犬の話などをSNSで発表できたらいいなと思っています。作品や活動はX(@HALfujiwara)でお知らせしています。

●「ヤングマガジン」(講談社)で、ちばてつや賞ヤング部門第89回優秀新人賞を受賞された『犬を送る』

(マグミクス編集部)

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