マグミクス | manga * anime * game

正直、倒したくない…? 『ドラクエ』やむなく悪に堕ちた「悲しき敵の裏事情」3選

ファミコン時代に生まれ、現在も圧倒的な人気を誇る「ドラゴンクエスト」シリーズ。同作に登場するモンスターには、思わず倒すのをためらってしまうような、悲しい背景があるものもいたようです。

倒すのがツラい… 敵モンスターが秘めた悲しき裏事情

ファミコンソフト『ドラゴンクエスト』(エニックス)のパッケージ
ファミコンソフト『ドラゴンクエスト』(エニックス)のパッケージ

 長い歴史のある「ドラゴンクエスト」シリーズには、さまざまなモンスターが敵として登場します。

 なかには細かい設定があるモンスターもいて、悲しい過去や裏事情があるものもいました。そこで、思わずプレイヤー側が倒すのをためらってしまいそうな、不憫な敵モンスターを振り返ります。

 初代『ドラゴンクエスト』のなかで、「実はかわいそうなモンスター」だったのが「ゴーレム」です。

 ゴーレムはレンガで作られた巨大な体を持つモンスターで、「メルキド」の町の出入り口を守るボスでした。「ようせいのふえ」で眠らせて倒すことになる強敵ですが、実はゴーレムには、ほかのモンスターとは異なる事情があります。

「ドラゴンクエスト モンスター物語」(エニックス)という書籍によると、実はメルキドにいるゴーレムは、竜王の軍勢から町の人びとを守るために人間が生み出した存在だったそうです。

「メルキドの守護神」として町を守る役割を担っていましたが、きめんどうしの「メダパニ」の呪文を食らったことで、ゴーレムが混乱してしまいます。

 しかし、その状態でも町を守るという役割を完全には忘れておらず、町に入ろうとする者は、人間、魔物を問わずに倒そうとする存在になってしまいました。もともとは人を守っていた善良なモンスターだったと思うと、どうしても倒すのは気が引けてしまいます。

 鬱ストーリーが多い『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』にも、悲しい過去を背負った敵が登場しました。

 そのなかでも「マチルダ」という女剣士は、倒したくない敵の筆頭に名前が挙がります。

 「マチルダ」とは「ウッドパルナ」の周辺で遭遇し、一時的にパーティにも加わってくれます。

 彼女はウッドパルナを救った村の英雄「パルナ」の妹でしたが、兄を見殺しにした村人たちに恨みを抱き、魔王にそそのかされて魔物と化しました。しかし、人間だった頃の心もかすかに残っており、主人公たちを手助けする場面もあります。

 紆余曲折あり、やむなく主人公がマチルダと戦うことを選んだ場合、彼女は身を守るだけで抵抗する様子はありません。結局、無抵抗のまま倒されるという、非常に後味の悪い結末が待っています(なお、マチルダ戦はイベント戦闘にもかかわらず「逃げる」ことができました)。

 ちなみに、ウッドパルナの戦士・ハンクがトドメを刺そうとするのを、主人公が止めることもできますが、その場合もマチルダは自害してしまいます……。

『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』の「ピサロ」も、悲しい過去を持つ敵として有名です。

 魔族の王であるピサロは同作のラスボスであり、主人公からすると義理の両親や幼馴染、お世話になった村人を殺した仇敵でした。

 もともとピサロは、ロザリーというエルフの恋人と仲睦まじく過ごしていた魔族でしたが、ルビーの涙を流すロザリーはたびたび人間に狙われ、ついに人間の手によって殺されてしまいます。

 そして最愛の恋人の命が奪われたことに激昂したピサロは、人間を抹殺することを決意しました(実はその背後には、ピサロの部下であるエビルプリーストの策謀がありましたが…)。

 それまでの「ドラクエ」シリーズは勧善懲悪の物語でしたが、『ドラクエ4』のピサロが受けた仕打ちには同情の余地もあり、異色のラスボスだったといえるでしょう。

 敵だからといって純粋な悪者ばかりではなく、魔に堕ちる経緯や理由が存在するのも「ドラクエ」シリーズらしい部分です。プレイヤーとして、ときには後味の悪さを痛感させられることもありますが、それも物語としての魅力なのかもしれません。

(マグミクス編集部)

【画像】「えっ、後味悪すぎ!」これが『ドラクエ』作品で倒したくなかった敵キャラです

画像ギャラリー