不死鳥のごとく復活! 打ち切られるも「ジャンプ」史に名を残した異例のマンガ3選
打ち切り後にアニメ化されたバトルファンタジー
●打ち切り後のアニメ化で一世を風靡した『武装錬金』

『るろうに剣心』の作者である和月伸宏先生が描いたマンガ『武装錬金』もまた、希有な経過を辿った作品のひとつです。同作は「ホムンクルス」と呼ばれる怪物との壮絶な戦いを描いた錬金術バトルファンタジーで、2003年に連載が始まったものの、残念ながら2005年に打ち切りになってしまいます。
その一因には当時の連載陣が「ジャンプ」史上のなかでもかなりの人気作ぞろいだったことも間違いなく影響しており、『武装錬金』もまったく人気がなかったわけではありません。むしろ単行本の売れ行きはかなり好調でした。
そのためなのか、『武装錬金』は一度打ち切りに遭いながらも、「赤マルジャンプ」2005 SUMMERで『武装錬金ファイナル』、「赤マルジャンプ」2006 WINTERで『武装錬金ピリオド』と、前後編という形で真の最終話が掲載されました。
さらに最終巻が発売され、『武装錬金』の物語も完全に幕を閉じたと思われた2006年に、なんとテレビ東京系列でアニメの放送がスタートします。主人公の武藤カズキを演じる声優・福山潤さんの名演技や、主題歌『真赤な誓い』のキャッチーさなどが相まってアニメは大ヒットとなり、その後もノベライズ版『武装錬金//』『武装錬金/Z(スラッシュゼータ)夢みた楽園』が刊行されたり、『武装錬金 ようこそ パピヨンパークへ』なる新作ゲームが発売されたりと、同作の人気は一気に広がっていきました。
2007年には「日本SF大会 星雲賞」コミック部門の選考候補にも選ばれ、最終的に単行本の売り上げは300万部以上を記録します。打ち切りになりながらも、ヒット作といって差し支えない水準に達したのでした。
●打ち切り、休刊…それでも何度も蘇った『シャーマンキング』
『シャーマンキング』は、1998年から2004年まで「ジャンプ」にて連載されていた武井宏之先生のオカルトバトルマンガです。連載中の2001年から2002年にかけては、テレビ東京系列でアニメ化もされた人気作でしたが、連載末期においてはアンケート結果がいまいち振るわず、2004年に打ち切りとなってしまいます。
ですが、バトル一辺倒でない独特の世界観に魅せられたファンは多く、2008年にストーリーの続きを描いた完全版が発売されました。さらに2012年4月には月刊誌「ジャンプ改」にて、『シャーマンキング』の主人公・麻倉葉の息子である麻倉花を主人公に据えた続編『シャーマンキングFLOWERS』の連載がスタートします。
しかし残念ながら同作は「ジャンプ改」の休刊に伴い、物語の途中で連載終了となりました。ここから武井先生は出版社を講談社へ移籍し、2018年から『シャーマンキングFLOWERS』の続編となる『SHAMAN KING THE SUPER STAR』が連載開始しました。以降、『SHAMAN KING レッドクリムゾン』『SHAMAN KING FAUST8「永遠のエリザ」』などの外伝作品も、講談社から発表されていくことになります。
そんな異例の経過を辿った『シャーマンキング』は、2021年に再アニメ化を果たしました。2001年版のアニメはオリジナル展開が多く、物語の結末も大きく変更されていたのですが、2021年版は原作に準拠したストーリーとなり、同作の物語が完全に再現されています。さらに2024年1月からは『シャーマンキングFLOWERS』のアニメ化も決定しており、令和になってもその勢いは留まることを知りません。
(ハララ書房)