『宇宙戦艦ヤマト』天地のない宇宙でなぜ艦艇のカタチ? 偽装はさておき納得の理由は
アニメ『宇宙戦艦ヤマト』の「ヤマト」は、天地の関係ない宇宙をゆくフネながら、いわゆる水上艦艇と同じカタチをしています。そこに意味はあるのでしょうか。建造時の偽装のお話はさておいて考察してみます。
「ヤマト」の目的から考えると「あり」?
西暦2199年、外宇宙から襲来した星間国家「ガミラス帝国」の攻撃により、地球は滅亡に瀕していました。地球は「イスカンダル星」より技術供与された「波動エンジン」を搭載する、恒星間航行用宇宙戦艦「ヤマト」を建造し、放射能除去装置「コスモクリーナー」を受領するために、大マゼラン星雲にあるという「イスカンダル」目指して、ヤマトを発進させました。
このようなストーリーのアニメ『宇宙戦艦ヤマト』、1974年に放送が開始されたそのオリジナルでは、海が干上がった地上で発見された旧日本海軍戦艦「大和」の残骸を隠れみのに建造されたため、大和型戦艦に似た「船」のような形をしています。
一方、現在でも新作アニメが作られているリメイク版『宇宙戦艦ヤマト2199』以降の設定では、戦艦「大和」の残骸だと思わせるために、偽装でこのような形になっているとされています。大きさ設定は違いますが(オリジナルは全長265.8m、リメイク版は全長333m)、どちらも「船」のような外見をしています。宇宙船であれば、そのように水上艦艇のカタチである必要はないようにも思います。これはなぜなのでしょうか。
以下は設定量の多いリメイク版を基に、考察していきます。
なおリメイクシリーズを福井晴敏氏による構成、監修でさらにリビルドしたアニメ作品『宇宙戦艦ヤマトという時代 西暦2202年の選択』によると、戦艦「大和」は西暦2141年に引き上げられて修理され、「第二次世界大戦終結二百周年」でその姿がお披露目されたのち、再び海底に沈められたので、物語開始時点において原型を留めた状態で沈んでいた、という設定のようです。
さて、上述したように宇宙船である宇宙戦艦が「船」、いわゆる「水上艦艇」の形をしていることは不思議にも感じられます。宇宙には天地がないので、通常の水上艦のように、砲や火気類を船体上部に詰め込む必要はなく、側面や艦底に配置することも可能なはずです(もちろん、集中ないし分散配置することのメリット/デメリットはあることでしょうが、ここではいったんさて置きます)。
実際、リメイク版で同時代に建造された地球側の宇宙艦艇「キリシマ」「ムラサメ」「ユキカゼ」などは、艦底にも砲塔などの武装を備えています。もっとも「ヤマト」にしても、艦底部にVLSとしても運用できるミサイル発射管を8門、装備していますし、艦載機発進ハッチも「武装」といえるものではありますが、それらの艦と比較して武装の偏りは顕著に見えます。水上艦艇の形に、何かメリットはあるのでしょうか。