【漫画】誘拐犯を冷静に説得する母 「娘を返す」と言われ心が通じたと思いきや、次の言葉に「怖い!」
娘を誘拐した犯人からの電話に応じる母親。彼女はいたって冷静です。なぜなら人は誰でも分かり合えるという信念があるからです。「返してください」と冷静に説得すると……。Twitter(現:X)で反響を集めた1ページマンガについて、作者の洋介犬さんにお話を聞きました。
安堵した母を絶望させたひと言とは?
娘を誘拐した犯人に諭すように語りかける母親。熱心に交渉した結果、犯人を説得することに成功します。「ごめんなさい……」と電話越しに聞こえてきた声に、心が通じたと安堵する彼女でしたが……。
X(旧:Twitter)で公開された洋介犬さん(@yohsuken)による1ページホラーマンガ『人を信じて心が届いた話。』がX上で公開されました。2023年6月の投稿には1400を超える「いいね」が付き、読者からは「1ページだけなのに濃いお話だ!」「ヒエ、怖い」「最後のセリフ……」などの声があがりました。
作者の洋介犬さんは商業誌での連載を多数持つ傍ら、SNSでも風刺マンガやホラーマンガを中心とした作品を精力的に投稿しています。今回の作品については、「信じる」という言葉に当時懐疑的で、「信じる」ことの危うさを描こうと思ったのがきっかけだったと語っていました。
2023年11月より、「カドコミ」「ニコニコ静画」などでホラーマンガ『メメ~大野こここはなぜ眼球に殺されるに至ったか~』を連載中です。黒目から眼球を産み、口に無数の目を宿す少女たち……そして主人公である大野こここの右目にも異変が……という物語です。
作者の洋介犬さんに、お話を聞きました。
ーー『人を信じて心が届いた話。』を投稿なさった当時~現在で、読者や周囲からはどんな声がありましたか?
もっと「嫌悪感を抱いた」的なご感想をいただくかと思いきや、最後の「できるだけ元通りに」などをサイコホラーとして受け止めて称賛される声が多かったです。もしかしたら「無条件・無限に人を信じる」ことにみなさんのクエスチョンがあるご時世なのかもしれません。
ーー 1ページながら、最後のコマで読者を震撼させる、インパクトのある作品でしたが、改めて作品を振り返ってみていかがですか?
基本的にショート作家なので、いつも「状況を端的に伝える」のに苦心しますが、このマンガは奇跡的に短いセリフ数で、この母親の人となりや現状を伝えられたんだろうなと思い返します。お手本というのは違いますが、指針・ベンチマークにできればと思います。
ーー本作を通じて、作者として変化などはありましたか?
数ある作品のうちのひとつなので劇的に何か変わったわけではありませんが、「善意へのクエスチョン」は作品のモチーフのひとつに組み込まれた感はあります。この作品後にSNSが隆盛となって「善意ってそんないいことばかりじゃないよね」という考えが加速した向きもあるので、今後もその側面をつつければ、と思います。
ーーその後投稿された最近の作品で、特に気に入っているものがあれば教えて下さい。
『ある日すべての女子のハイライトが消えた世界』『女子の瞳のハイライトが消えた世界で、姉と僕は。』です。「ある日世界中の女の子の瞳のハイライトが消えた」という設定で描いたマンガがバズりました。たった数ミリの光点の違いで受け取る感情が180度違う妙が好きです。
ーー「カドコミ」「ニコニコ静画」などで連載が始まったホラーマンガ『メメ~大野こここはなぜ眼球に殺されるに至ったか~』について、あらすじや見どころなどをご紹介いただけますか?
僕の代表作であるホラーコミック『外れたみんなの頭のネジ』のエッセンスを引き継ぎ、今の技術で描きたいホラーをリビルドした新作です。
特徴として、作中で起こる怪異がすべて「目」にまつわるものというルールがあり、その縛りプレイのような状況でバラエティ豊かな「目の恐怖」をお届けしたいと思っています。
作者のホラーの原体験が視線恐怖だったり、前述のバズマンガも「目」がテーマだったり、漫画家を目指したきっかけが授業中に描いた眼球だったこともふまえ、いい意味の「原点回帰ホラー」にもなれば幸いです。
●洋介犬さん 過去のインタビュー
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●カドコミ『メメ~大野こここはなぜ眼球に殺されるに至ったか~』
●ニコニコ静画『メメ~大野こここはなぜ眼球に殺されるに至ったか~』
(マグミクス編集部)