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そこには悲恋しかないのか? 「ガンダム」シリーズの強化人間に待ち受ける残酷な末路

「機動戦士ガンダム」シリーズには多くの強化人間が登場しますが、そのほとんどが悲劇的な結末を迎えています。そこで今回は、強化人間の悲しい恋を振り返りましょう。

強化人間を待ち構える悲しき宿命

フォウと彼女の乗るサイコガンダムの姿。角川スニーカー文庫『機動戦士Zガンダム 第三部 強化人間』(KADOKAWA)
フォウと彼女の乗るサイコガンダムの姿。角川スニーカー文庫『機動戦士Zガンダム 第三部 強化人間』(KADOKAWA)

「機動戦士ガンダム」シリーズでお約束のように登場するのが、薬物や精神操作などによって能力を向上させた、いわゆる「強化人間」です。そして多くの強化人間は、人間の深い業からか、悲しい結末を迎えてしまう傾向があります。そのなかでも特に主人公や周囲の登場人物たちと心を通わせながらも、悲しい最期を迎えてしまった強化人間を見ていきましょう。

●フォウ・ムラサメ 『機動戦士Zガンダム』

 悲劇的な強化人間の代表例ともいえるのが『機動戦士Zガンダム』に登場するフォウ・ムラサメです。

 もともと戦災孤児だったフォウは強化の過程で記憶を操作され、過去の記憶を失っていました。フォウの名前はムラサメ研究所で作られた4番目の被検体「ナンバー4」だったことが由来で、本当の名前は分かっていません。

 ティターンズ所属のフォウはホンコン・シティで、敵対する反連邦組織「エゥーゴ」のカミーユ・ビダンと出会ってお互いに惹かれあいました。結局、敵と味方に別れたカミーユとフォウでしたが、自らの使命とカミーユを思う気持ちとの間で揺れ動いた結果、フォウはカミーユが宇宙に向かう手助けをすることを選びます。その際にフォウは輸送機の爆発に巻き込まれ、1度は死んだかと思われました。

 しかし第35話「キリマンジャロの嵐」でカミーユとフォウは再会を果たします。ところがフォウは精神状態を悪くしており、その影響でカミーユのことを忘れてしまって彼の呼びかけに答えませんでした。続く第36話「永遠のフォウ」で、カミーユの呼びかけにようやく彼のことを思い出すものの、最後は戦いのさなかでカミーユの盾となって散ってしまいました。

ステラとシン、背後に「デストロイガンダム」。バンダイナムコフィルムワークス『機動戦士ガンダムSEED DESTINY 8』DVD (C)創通・サンライズ・毎日放送
ステラとシン、背後に「デストロイガンダム」。バンダイナムコフィルムワークス『機動戦士ガンダムSEED DESTINY 8』DVD (C)創通・サンライズ・毎日放送

●ステラ・ルーシェ 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』

 そのようなフォウをオマージュしたと思われるのが、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する「ステラ・ルーシェ」です。本作では「エクステンデッド」と呼ばれる強化人間で、地球連合軍の特殊部隊に所属するパイロットとして登場しました。

 強化の影響で性格に幼さが強く現れるステラは海で溺れそうになっていたところを、その場に偶然居合わせた主人公のひとり「シン・アスカ」に助け出されます。そして救助を待つ間のやり取りで、ステラはシンの大切な存在になっていきました。

 やがてステラは、シンの所属するザフト軍の捕虜になってしまいます。必要な措置ができず衰弱していく彼女を救うため、シンは軍規に反してまで敵対するステラの元の部隊へと彼女を返したのでした。この時ふたりは「ステラを戦いから遠ざける」という約束を交わします。

 しかしその約束は残念ながら破られ、ステラは通常のモビルスーツよりひと回り大きな「デストロイガンダム」のパイロットになってシンと対峙することになってしまうのでした。

 暴走するステラは戦いのなか、シンの説得で1度は正気を取り戻すのですが、再び暴走を始めたため、シンの眼前で「フリーダムガンダム」によりトドメを刺されてしまいます。

 もともとシンは、家族を失ったきっかけを作った「フリーダムガンダム」に対して良くない感情を持っていましたが、ステラの死によってさらに憎しみを募らせていくことになりました。

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