マグミクス | manga * anime * game

『AKIRA』に打ちのめされた漫画家たちとその「大友克洋」を形作ったレジェンドたち

マンガ/劇場アニメ作品『AKIRA』は、当時初めて作品を読んだ/観た多くの人に大きな衝撃を与えました。それは当時の漫画家たちもそうで、それまでの価値観を揺るがすほどの出来事だったそうです。

「ニューウェーブ到来」によって絶望した漫画家たち

『AKIRA 4Kリマスター』より (C)1988マッシュルーム/アキラ製作委員会
『AKIRA 4Kリマスター』より (C)1988マッシュルーム/アキラ製作委員会

 日本だけでなく海外でも根強い人気を誇る劇場用アニメ作品『AKIRA』は、そもそも原作・脚本・監督を務めた大友克洋先生が、1982年から「週刊ヤングマガジン」(講談社)で連載していたマンガです。そして1988年に劇場公開されると、その迫力ある映像などによって多くの人たちに衝撃を与えました。一般の視聴者や読者はもちろん、当時の漫画家たちにも大きなショックを与え、それまでのマンガやアニメにおける価値観がガラッと変わってしまったそうです。

 例えばマンガ『アオイホノオ』などの作者として知られる島本和彦先生や、マンガ『Bバージン』『絶望に効く薬』などを手がけた山田玲司先生も『AKIRA』に衝撃を受けた漫画家です。2023年11月8日に山田先生が運営するYouTubeチャンネル『山田玲司のヤングサンデー』で公開された動画には、島本先生がゲストとして登場し、『AKIRA』が世に出てきた時の衝撃について語っています。

 同動画で山田先生が『AKIRA』について話題を振ると、島本先生は当時を振り返って「マンガ(研究会)の先輩がこれにハマるわけよ」「こんなのにハマられたらついていけないですよ」と話していました。というのも島本先生は、偉大な漫画家である石ノ森章太郎先生の作品を信じて追いかけていたのに、『AKIRA』が世に出たことで、一気に「大友先生支持」という風潮が強くなっていたことにショックを受けたと説明しています。

 山田先生も島本先生と同じ心境だったようで、「手塚、石ノ森のトキワ荘の系譜では全然ないもの」「そっち(手塚、石ノ森の系譜)からきているから我々は、そっちから入学しようと思って頑張ってきたのに『お前フランス(バンド・デシネというフランス語圏のマンガのこと)持ち込むんじゃねえよ』っていう」と熱弁していました。

 大友先生によって「ニューウェーブ」という時代の切り替わりが起こったことで、それまで「トキワ荘の系譜」を信じていた山田先生や島本先生のような人たちに大きな衝撃を与えたことがわかります。

【画像】こちらがおなじみ「AKIRAの予言」といわれるカット(4Kリマスター版)です(6枚)

画像ギャラリー

1 2