『ワンピ』黒ひげが「メロメロの実」を狙った本当の理由 カギを握るのはロックスとの関係性か
『ONE PIECE(ワンピース)』の原作1059話にて、「黒ひげ海賊団」がボア・ハンコックから「メロメロの実」を奪うべく女ヶ島へ侵攻する一幕がありました。たしかに強力な「悪魔の実」ですが、そこまでする動機はどこにあったのでしょうか。隠された思惑を探ってみましょう。
黒ひげが「メロメロの実」を求めた理由は?

『ONE PIECE(ワンピース)』に登場する「悪魔の実」のひとつ「メロメロの実」は、魅了した相手を石化させる能力を有しています。対人戦で猛威を振るうことはもちろん、心が存在しない無生物にも効果が及ぶため、ポテンシャルは無限大といえるでしょう。
作中では、そんな「メロメロの実」を黒ひげことマーシャル・D・ティーチが奪い、自分の力にしようと狙っていました。彼の狙いは一体どこにあったのか……。そこに隠された思惑を探ってみると、ひとつの神話との関係性が浮かび上がってきます。
「メロメロの実」は現在、女ヶ島の国家「アマゾン・リリー」の現皇帝であるボア・ハンコックが所有しています。世界一とも称えられる美貌との組み合わせによって、無敵の力を発揮していることは、今さら説明するまでもないかもしれません。
そして原作の第1059話では、回想という形で、ティーチ率いる「黒ひげ海賊団」が「女ヶ島」に侵攻したことが明かされました。彼らは「能力者狩り」を行っていることで知られていますが、この侵攻の目的もハンコックが持つ「メロメロの実」の力を奪うことにあったようです。
一時はピンチに陥ったハンコックですが、シルバーズ・レイリーの介入によって能力の奪取は失敗に終わりました。しかしその一方、なぜティーチたちが「メロメロの実」をターゲットにしたのか疑問に思った読者も多かったのではないでしょうか。
というのも、「黒ひげ海賊団」の面々にはお世辞にも絶世の美女や美男子といえる人物は存在していません。たとえ「メロメロの実」を強奪できたとしても、ハンコックのように扱えるかは微妙なところでしょう。わざわざ強者ぞろいの「九蛇海賊団」と海軍の勢力を同時に相手取るほどの重要性があるとは、到底思えません。
もちろん、ティーチたちが「メロメロの実」の力を発揮するためには美貌が必要だと知らなかった可能性も大いにありえます。実際にハンコックがそのことを説明するのは、自身がティーチに捕えられた後のことでした。
とはいえ、ここでティーチに「別の思惑」があったと考えることもできます。たとえば「メロメロの実」に真の能力が隠されているとすればどうでしょうか。
実をいうと以前から「メロメロの実」については、ギリシャ神話に登場する怪物「メドゥーサ」がモデルになっていると指摘されていました。たしかに相手を石化させる能力は、かなり似たものがあります。そもそもハンコックがサンダーソニア、マリーゴールドと合わせて「ゴルゴン三姉妹」と呼ばれているのは、明らかにメドゥーサの姉妹たちが元ネタでしょう。
そして神話において、メドゥーサはペルセウスによって首を切り落とされて退治されるのですが、右側の血管から流れる血には「死者を蘇らせる力」があったといわれています。こうした背景から「メロメロの実」にも同じく死者蘇生の力が隠されているのではないか……と考察されているようです。
「悪魔の実」にはさまざまな力がありますが、死者を蘇生できる能力はひとつも存在しません。唯一近いのが「ヨミヨミの実」ですが、能力の対象になるのは自分だけでしょう。「メロメロの実」がそれほどの異能を秘めているとすれば、ティーチが欲したのも不思議ではありません。
さらに考察を一歩進めて、ティーチが死者蘇生の力で何を目論んでいたのかも考えてみましょう。仮説として考えられるのは、伝説の大海賊であるロックス・D・ジーベックの復活です。
ティーチたちの船は「サーベル・オブ・ジーベック号」と名付けられていますが、これは直訳すると「ジーベックの剣」という意味になります。さらに「黒ひげ海賊団」が拠点としている「海賊島ハチノス」は、「ロックス海賊団」結成の地といわれていました。すなわちふたりのあいだには、深いかかわりが示唆されているのです。
今のところ具体的な接点はほとんど描写されていないものの、一部では「ティーチはロックスの息子」という考察なども浮上していました。いずれにしても、ティーチがロックスの復活を望んでいる可能性は十分ありえるでしょう。
なぜティーチは「メロメロの実」に執着していたのか、そしてロックスとはどんな関係だったのか。今後、その真相が一気に明らかになっていくかもしれません。
(ハララ書房)