『赤ずきんチャチャ』TV放送から30年 原作改変しながらも大ヒットに結び付いたワケ
TVアニメとして放送されて30年を迎えた『赤ずきんチャチャ』。玩具会社の都合で変身少女バトルアニメへ原作から改変された作品です。しかし、そんな展開ながらも新たなファン層を獲得するヒット作となりました。
原作改変でもファンの心をつかんだ理由とは?

本日1月7日は、1994年に『赤ずきんチャチャ』がTVアニメとして放映開始された日で、今年2024年は30周年のメモリアルイヤーとなります。今でも語られることの多い、原作マンガと異なる展開になりながらも人気を獲得したTVアニメについて振り返ってみましょう。
当時の『赤ずきんチャチャ』は、少女向けマンガ月刊誌「りぼん」(集英社)で連載されていた、彩花みん先生による人気マンガでした。見習い魔法使いで赤ずきんをかぶった「チャチャ」、その幼なじみで狼男の「リーヤ」、チャチャにひと目ぼれした魔法使い見習いの「しいねちゃん」の3人が中心となって織りなすドタバタコメディです。
前番組『姫ちゃんのリボン』(原作:水沢めぐみ)も同じく「りぼん」連載で、玩具会社「タカラ(現在のタカラトミー)」がメインスポンサーでした。テレビ東京金曜18時のアニメ枠で、この「りぼん」「タカラ」という座組は以後も続くことになります。
原作マンガもファンからの人気が高く、アニメ化が望まれていた作品でした。しかし本作は、原作マンガにはなかったストーリーと設定の大幅な変更がなされます。これは玩具会社の意向でした。原作通りの展開では、商品となるオモチャのラインナップに不安があるからでしょう。
実際に前番組『姫ちゃんのリボン』も、原作にはない魔法アイテムの登場で話をふくらませています。さらに言えば、当時は『美少女戦士セーラームーン』が大ヒットしていたことも要因でしょう。この後、「ポストセーラームーン」を狙ったバトルヒロインジャンルのアニメ作品が続々と生まれていきます。
こうして、原作にはない「チャチャが『マジカルプリンセス』になって、悪の大魔王と戦う」という展開が、アニメでは描かれることになりました。現在のTVアニメ事情から見ると、炎上間違いなしの展開かもしれません。しかし、逆にアニメは大成功と言っても過言ではない注目作品となりました。
その一番の要因は、あくまでも原作に倣ったドタバタコメディを貫いたことでしょう。シリアスな場面があってもギャグが次々と挿入されることで、作品を重くしない絶妙な黄金比となっていました。そのテンポの良さは当時の『セーラームーン』はもちろん、現在の人気作品にも通じるものがあります。
この重要な「テンポ」を支えたのは、担当したアニメスタッフの面々でした。後にさまざまな作品で名を残すことになる、当時は若手演出家だった大地丙太郎さんや佐藤竜雄さんの力によるものです。そして、こういった若いスタッフの頑張りは製作面だけでなく、新人を多用した声優陣にも言えるものでした。