マグミクス | manga * anime * game

若者の「タイパ志向」に2次元アイドル作品はどう挑むのか 『シャニマス』プロデューサーが明かす戦略

「推し活」ブームの昨今、とくに人気を誇るのが「二次元アイドル」です。しかし、競争も激しく、なかにはサービス・活動を休止してしまうコンテンツも。2次元アイドル作品を展開するうえで重要なことは何なのでしょうか。『シャニマス』プロデューサーに聞きました。

「二次元アイドル」コンテンツを展開するうえで重要なこと

『アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism』
『アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism』

 アイドルをはじめとする「推し活」市場が勢いを増しています。矢野経済研究所の調査によると、2021年度の「推し活」市場のトップは「アニメ」が2650億円にのぼり、「アイドル」が1500億円と続いています。

 アニメ・ゲームをはじめとするエンタメ業界でも、2次元アイドルコンテンツと呼ばれる「アニメ」と「アイドル」の2要素をかけ合わせた作品が人気です。ゲーム企業を中心に、エンタメ企業各社でこうした2次元アイドル作品を有する動きもあります。

 例えば、バンダイナムコグループであれば「アイドルマスター(アイマス)」シリーズや「ラブライブ!」シリーズ。ブシロードグループであれば「BanG Dream!」シリーズ。Cygamesであれば「ウマ娘 プリティーダービー」。セガであれば「プロジェクトセカイ」といった具合です。

『アイドルマスター シャイニーカラーズ(シャニマス)』5周年キービジュアル
『アイドルマスター シャイニーカラーズ(シャニマス)』5周年キービジュアル

 こうした2次元アイドル作品の多くはゲームやアニメを中心に展開しています。さらに数多く登場するキャラクターを演じる声優たちによる音楽ライブを積極的に展開することで作品のストーリー展開と楽曲展開を同時に繰り広げ、収益の最大化を図っています。

 しかし、競争も激しく、なかには解散してしまったり、事実上サービス・活動を休止してしまったりしている作品もあります。まさに「2次元アイドル戦国時代」とも言えるなか、「アイドルマスター シャイニーカラーズ(シャニマス)」のプロデューサーはどのように見ているのでしょうか。

左から『シャイニーカラーズ』プロデューサーの高山祐介さん、アニメ『アイドルマスター シャイニーカラーズ』プロデューサーの池田ななこさん
左から『シャイニーカラーズ』プロデューサーの高山祐介さん、アニメ『アイドルマスター シャイニーカラーズ』プロデューサーの池田ななこさん

 アイマスシリーズのスマートフォン向けゲームアプリ最新作『アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism(シャニソン)』のプロデューサーを務める高山祐介さんは、2次元アイドル作品を展開するうえで考えねばならない点をこう挙げます。

「2次元アイドル作品をあまり知らない人からすると、どの作品のキャラクターを並べても区別がつきにくいと思います。特定の作品を知っている人でも同様ですから、作品のコンセプトとキャラクターのシルエットで見た人に端的に数秒で印象づけなければなりません」

『アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism』
『アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism』

「数あるアイドルコンテンツのなかで、『シャニマス』を見た人にどうやって理解してもらえるか。そしてゲームとアニメなどが連動してファンの人に楽しんでもらい、多くの人にオススメできるような雰囲気を作らないとなりません」(高山さん)

 そこで、高山さんは『シャニマス』ならではの特徴をこう挙げます。

「『シャニマス』の特徴として、ふたりから5人のアイドルたちによる固定ユニット制を採用している点です。これにより、ユニット内のアイドル同士の人間関係や、プロデューサー(作品内におけるプレイヤーの呼称)とのドラマをよく描いています。18年にリリースしたenza対応ゲーム『アイドルマスター シャイニーカラーズ』では特にシナリオに力を入れています。シナリオを読むことでアイドルの愛着が増していき、ゲーム体験も没入できる点に注力しています」

高山祐介プロデューサー
高山祐介プロデューサー

 『シャニマス』は18年4月からブラウザやアプリで展開されている同名のゲームが元となっています。登場するアイドルの数は28人(24年1月時点)と他の「アイドルマスター(以下アイマス)」シリーズ作品より少なく、その分プレイヤーである「プロデューサー」との人間模様が濃く描かれています。

 ゲーム中の明確な目標のひとつとして、「W.I.N.G.(ウィング)」という新人アイドルの祭典での優勝があります。他の「アイマス」シリーズのゲーム作品でも、アイドルたちと二人三脚で目標に向かう姿が描かれていますが、『シャニマス』ではゲームシステムとストーリー、両面から優勝に突き進むアイドルたちと「プロデューサー」とのドラマを熱く描いています。

『アイドルマスター シャイニーカラーズ』
『アイドルマスター シャイニーカラーズ』

 また、『シャニマス』では等身大のアイドルを描く狙いがあり、年齢やパーソナルな設定など、二次元アイドルとしてのキャッチ―さと現実にいるかもしれないというリアリティラインの中間に位置するのではないかと考えています。

1 2 3