【漫画】もし、きつねが無事だったら? 悲しい結末の『ごんぎつね』が笑えるハッピーエンドに!
いたずら好きなきつねが、誤解から村人に撃たれてしまう……という悲しい結末の物語『ごんぎつね』を笑える結末に変えた斬新なマンガ『ずるずる続いたごんぎつね』がX(旧:Twitter)で反響を集めました。作者の安堂友子さんにお話を聞きました。
撃たれなかったきつねは、栗を届け続けて?
学校の教科書にも掲載されている有名な文学作品『ごんぎつね』。いたずら好きなきつね・ごんは、過去のいたずらの償いで村人・兵十の家へ栗や松茸を届け続けるようになりますが、誤解から兵十に撃たれてしまう……という悲しい結末の物語です。
X(旧:Twitter)で公開された、安堂友子さん(@tomokoandou)のマンガ『ずるずる続いたごんぎつね』は、この『ごんぎつね』をまったく新しい結末で描いた作品です。意外な結末に、読者からは「素晴らしい世界観」「癒やされた」「面白くて好き」「笑った」「こんな結末ならうれしかった」などの声があがり、2023年9月の投稿には1.9万いいねの反響が集まりました。
作者の安堂友子さんは、4コマギャグマンガを中心とした作品を多く発表しており、現在「主任がゆく!スペシャル」にて『マチ姉さんのポンコツおとぎ話アワー』を連載中、単行本が2巻まで発売中です。今回のマンガ『ずるずる続いたごんぎつね』については、「ごんぎつねがもしも撃たれず元気だったら、いったいどのくらいあとまで栗などを運び続けたのだろうか」とふと疑問に思ったことと、「幸せなパターンがあってもいいじゃない」という気持ちから描いたそうです。
作者の安堂友子さんに、お話を聞きました。
ーー『ずるずる続いたごんぎつね』を投稿なさった当時~現在で、反響があったことで読者や周囲からはどんな声がありましたか?
これがきっかけでほかの4コママンガを読んでくれた方がいらっしゃったり、割とあとになってからも「これ好き」といってリポスト(リツイート)して下さる方がいらっしゃったりしてうれしいです。後述の「『スーホの白い馬』も描いてほしい」という反応もここからでした。
ーー作者として、反響後の変化などはありましたか?
「次はエーミールを……」(『少年の日の思い出』)とのコメントを目にし、トラウマ教科書話を中心に内容を調べたり思い出すなどしました。絵本などのいろんなしんどいお話に遭遇して寝込むかと思いました。
ーーその後、読者のリクエストに応えて、『スーホの白い馬』のハッピーエンドバージョンを投稿なさっていました。こちらの作品について教えて下さい。
『ずるずる続いたごんぎつね』のときもですが、「真面目な原作を茶化すな」というお叱りがきたら怖いなと思いつつ投稿しました。実際茶化してますし……。幸いそういったご意見は自分が目にした範囲ではなかったので助かりました。(心が)
『ずるずる続いたごんぎつね』のときは「もうこれでええ」という感じの反応が多くてうれしかったですが、『スーホの白い馬』のほうは好意的なニュアンスでの「ひどい(笑)」というものが見られて、これはこれでうれしかったです。
ーーおとぎ話や動物が登場する物語を多く描いていらっしゃいます。描くうえで工夫なさっていること、心がけていることなどはありますか?
おとぎ話や昔話には「正直者が馬鹿を見る」「無知からの大失敗をする」みたいな型も割とあって、パロディの際にはそういう気の毒な要素にはフォローを入れたいほうです。そのうえでちゃんと笑えるネタにしたいと思っています。
絵に関してだと、完全にデフォルメした姿で描いていますが、動物の指の数や肉球の形などのリアル部分もできるだけ意識するようにしています。でもウサギに肉球を描いてしまったコマもあるので、うっかりはあります。あとトラの前脚に縞柄はない(少ない)など、想像してなかった部分があとから判明することもあります。
ーー今後の創作活動について教えて下さい。
『マチ姉さんのポンコツおとぎ話アワー』3巻の準備と過去連載作のデジタル化の追加、新作の構想を進めております。どうぞ応援をよろしくお願いいたします。
(マグミクス編集部)